ただ君を包み込む、-4/4-






想像通り、既に衣服は着込み終え、ベルトを巻こうとしているライトニングとそこで目が合った。
足元には先ほどまでライトニングの身体を包んでいたフリオニールのマントがきっちりと畳まれて置かれている。
ところどころにうっすら血が付着しているのは、傷ついたライトニングの身体を包んでいたときにその傷に触れたからだろう。

「…しかし、お前には心配をかけてしまったな…それに随分みっともないところを見せてしまった」

ベルトを締め、そこにいるのはもう普段どおりのライトニング。
フリオニールから漏れた吐息は、今度は安堵を含んだもので…

「気にしなくていいよ。俺なんか普段もっとみっともないところ見せてる気がするし…でも、これからはあんまり無理をするなよ」

そう言ってフリオニールはライトニングに笑顔を向けて立ち上がった。
そのまま、ライトニングの足元に置かれたマントを手にとって広げて身に纏った。

「さっきも言ったけど、あんな姿…他の奴には見られたくないから」
「ああ、なるべく気をつける」

ライトニングは短くそう言葉を返す…なるべく、と言ったのはいかに気をつけていても予想外の攻撃を受けて傷つくことがあり得るからだろうとは想像がつくし、それについてはフリオニールも同感なのでそこに敢えて触れることはしない。

「…怪我をしてもお前がこうして付きっ切りでいてくれるのならさほど悪くないのかもしれないが、流石に心配をかけるのは本意じゃないからな」

どこまでが本気でどこまでが冗談なのか、それは分からないが…そう呟いたライトニングは真顔で。
心配ならいくらかけられても構わないが、やはり傷ついたライトニングを見るのは辛い…それをどう言葉にして伝えればいいのかと逡巡していたところでライトニングはその目を真っ直ぐに見つめる。

「しかし、やはりお前は変に生真面目だな」
「何が?」
「変な気を起こしそうで怖いから振り返れない…と言うあたりが、な」

実際に変な気を起こしかけたから言ったんだけど、とはフリオニールには流石に言えなかった。
そんなフリオニールの内心を知らないライトニングはそのままテントの出口の方へ足を向ける。
そして、テントを出て行きかけたところでライトニングは振り返ってフリオニールの方へ視線を送る―

「まぁ、今日は変な気を起こされても相手できるような状態じゃないんだが。流石に体調が万全とはいかないようだ」
「いくらなんでもそんな無茶は言わないよ」

苦笑いを浮かべながらフリオニールもそのライトニングの後に続いてテントを出た。
ライトニングが心配だったのか、それともフリオニールがいるからテントに入れなかったのかそこにはティナとティファ、それにユウナの姿があって…3人は口々に声をかける。
それに答えながら、ライトニングの視線が不意にフリオニールを捕らえた。
ありがとう、その視線は改めてフリオニールに告げている。
フリオニールはそれにただ頷きを返し、ライトニングの背中を見守っていた。

あられもない姿になっていたライトニングを包み隠していたマントと同じくらい優しくしっかりと、その視線と想いがライトニングを包んでいる…フリオニール本人には、その自覚はないようではあった、が。


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