ただ君を包み込む、-1/4-






ひずみに向かった…仲間たちが傷ついて戻ってくることは日常茶飯事。
意識のない状態で戻ってくる者もいることもあり、ひずみの中の戦いが厳しいことをそれが物語っている。
だから、誰かが怪我をして帰ってきても割と冷静な行動に出る者が多いのは事実…ではあるのだが。


「誰か早くポーション用意して!ライトが!!」

ひずみから仲間たちが戻ってきたかと思ったら、けたたましくそんな声が聞こえる。
声の主は…意識を失ったライトニングを背負ったままのティファ。ひずみの近くにいるはずの仲間たちに届くように慌てたような大きな声でそう伝える―
その声に自然集まってくる仲間達…その中には当然フリオニールの姿もある。
ライトニングの名が聞こえた上に、ポーションを用意するよう告げられたと言うことはライトニングは恐らく負傷している。
それを聞いては出てこないわけには行かないのだろう、とそこまではその場にいる全員が思った…しかし。

「…っ、ライト!?」

姿を現し、ティファに背負われたライトニングの姿を見たフリオニールの声がおかしな裏返り方をする…
無理もないだろう。ティファの背中に身を預けて気を失っているライトニングは少々どころではなく負傷していたのだから。
ティファの慌て方から決して軽い傷ではないだろうことは彼自身も想像していただろうが、ライトニングはその想像を遥かに超える深手を負っている。
素肌には無数の斬傷、ところどころ火傷の跡も残されている…その傷痕からは今も血が滲み、見ているだけで痛々しい。
荒い呼吸から、今のライトニングが意識はないまでもその傷の痛みで苦しんでいることは見て取れる―
だがそれよりも何よりも今のライトニングの姿を無惨に見せていたのは身につけている衣服の状態だろう。
身体の傷もさることながら、衣服もところどころ、とは言いがたいレベルで破損している。
上半身は大きく裂かれ、かろうじて胸元から背中にかけて残った布に覆われている程度で殆ど素肌が露わになっていたし、腰のラインから臍の辺りまでも露出している。
スカートも無惨に破れその中に履いているはずのレギンスも大きく破損している。
そのため太腿は付け根の辺りまで肌が露出している。もう少し破損が大きければほぼ半裸と言ってもいい状態になっていたかもしれない…
そしてその露出した肌からは血が滲んでいて、余計に痛々しく思える。
そのライトニングの姿を目にしたフリオニールは考えるよりも先に自分の身につけたマントを外していた。

「ポーション持ってきたぞ…って何してんだ、フリオニール」

不思議そうにヴァンがそう問いかけてくるがフリオニールは答えない。
確かに、今のライトニングの状況とフリオニールの行動は誰にも繋がらないのではあるが―今そんなことにいちいち答えを返している余裕は、フリオニールにはない。

「ヴァン、ポーションをこっちに。ティファ、あとは俺に任せてくれないか」

フリオニールの言葉に頷いたティファはフリオニールに背中を向け、意識のないライトニングの身体をフリオニールに預けた。
その身体を外したマントでくるみ、ライトニングを横抱きに抱える―そしてヴァンが持ってきたポーションを受け取った。
そう、マントを外したのは…今の、あられもない姿になったライトニングを他人の目に触れさせないようにするため…

「立ててあるテント、まだひとつしかないけど…ライトの手当てをするならそこを使って」

フリオニールに抱えられたままのライトニングを心配そうに見上げているティナの言葉にフリオニールは頷き視線を動かす―確かにひとつ設営が済んでいるテントがある。
フリオニールは何の迷いもなくそのテントに足を向けかけて…それから、一度ティナの方を振り返る。

「服が随分破れてるから、ライトの着替えがある場所が分かるなら持ってきてもらっていいか?」
「うん…後から持っていく」

ティナが頷いたのを確認してから、フリオニールは真っ直ぐにテントへと向かった。


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