強く繋ぐ糸-2/4-






武器がぶつかり合う音、動き回る中で次第に乱れる呼吸―目の前にいる「フリオニール」はそれなりの実力を持ってライトニングに襲い来る。
この迷宮に現れる「敵」は、姿こそ似ているものの本物の仲間たちの実力には遠く及ばない者も多い。
そういった敵に比べれば、目の前にいる「フリオニール」は格段の強さを誇っているようにライトニングには感じられた。
しかしライトニングだって負けているわけには行かない。剣を、銃を、そして魔法を巧みに使い分けてただ自分に迫り来る相手を翻弄する。

「当たれっ!」

自分に向かってストレートに放たれた矢をひらりとかわし、ライトニングはすばやく体勢を整えた。そして。

「殲滅する!」

剣を振りかざし上空から雷を呼び寄せる―幸いにして自分の攻撃をかわされることもなく、その雷は「フリオニール」の頭上へ。
勝てる、そう思った瞬間…だった。
「フリオニール」を庇うように現れるその姿―纏う衣は違っていた気がしたが以前にどこかのひずみで出会ったことのある…人間とは違う姿の、褐色の肌をした少女。

「なんだと…?」

確かに自分も同じように、敵からの攻撃を受けているところを仲間に庇われることはある。だから目の前の「フリオニール」が同じようにその行動をとったとしても何の不思議もない。
しかし、勝てると思った瞬間を衝かれたためかライトニングに一瞬の隙があったのは事実。

「氷塊よ!」

ライトニングの放った雷から逃れた「フリオニール」は杖を手にし、ライトニングに向かって氷の魔法を放つ。
身を翻そうとするも一瞬遅く、その氷塊はライトニングの身体を直撃する―

「くっ―!!」

大きく吹き飛ばされた自分を追撃しようと、「フリオニール」はライトニングを追ってこちらに飛び掛ってくる。
しかし油断はしていたもののそう何度も攻撃を食らってやるほど自分は甘くない。
その脚が自分を蹴り上げようと襲い来る、しかしライトニングは冷静にそれを回避した。
そして。

「斬り裂くっ!」

違う攻撃が放たれると思ったのか先に身をかわそうとしていた「フリオニール」には大きな隙が出来ていた。
そこに叩き込まれる剣、大きく弾き飛ばしたその身体が動くことはもうなかった。

「終わった、か」

ライトニングは武器を納め、ちらりと…倒れ伏した「フリオニール」を一瞥して先へと進む。
…その表情に迷いなど存在しない、だが…今の彼女の中にかすかなひっかかりが存在するのは確かで。
そのひっかかりの正体すら分からないままに、ライトニングはただただ足を進めるだけだった。


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