温泉へ行こう!-5/5-






フリオニールを皮切りに三々五々仲間たちは温泉から上がってくる。
…まだ好奇の視線は痛いがフリオニールは一生懸命それに気付かない振りをする…そして、後から上がって来たクラウドと顔を見合わせて2人で溜め息をつくのであった。

その後、女性陣が温泉から出てくるのを待って一行は野営地まで戻る…なんだかその女性陣と顔が合わせづらくてフリオニールは自然と最後尾を歩いていた。
そして、そんなフリオニールに気付いたのか…歩幅を落とすライトニング。自然とその隣に並び、フリオニールの方をちらりと見た。

「温泉に入ったと言うのに随分疲れた顔をしているな」
「…温泉はいいんだけどライトたちの会話が恥ずかしくて死ぬかと思った」

そう言った自分の言葉はまるで怒っているかそれとも拗ねているようにでも聞こえたのだろうか、ライトニングは少しだけ申し訳なさそうな表情を浮かべる。

「…次からは気をつける」
「あとティファにも言っといてもらえると助かるな。あのクラウドが動揺して温泉に沈んでたくらいだから相当だと思う」
「…ああ、そう言えば…ティファで思い出した」

ライトニングはそう言うとフリオニールの肩にそっと手を添える。
それに釣られたかのようにフリオニールの視線はライトニングの方へ。

「私が温泉の存在をお前に黙っていた理由だが」
「ああ、何か理由があるって言ってたよな。教えてくれるのか?」
「ティファと約束していたんだ。私はお前には言わない、ティファはクラウドには言わない…言ってしまえば、思いつくことはお前もクラウドも同じだろうと分かっていたから」

…その状況で自分が、そしてクラウドが思いつきそうなことと言えば…
勿論そんなことはひとつしかないわけで、それをはっきりと言葉にされてしまうとなんだか先ほどまでとは違う恥ずかしさのせいでライトニングのほうを見ることが出来ない。

「しかし、今まで行っていたあの小さいところと今回行ったあの広いところと、それとは別にもう1つ小さい温泉を見つけたんだ。つまり…」
「つまり、そのー…クラウド達とタイミングが重なってしまっても問題はない、ってこと…だよな」
「飲み込みが早くて助かる。…まあ、恥をかかせたことは悪いと思っているし…そっちは大人数だったから落ち着かなかっただろうし」

そしてライトニングは歩幅を上げて少しだけフリオニールから距離をとる。
そしてゆっくりと振り返ってその瞳を真っ直ぐに見つめた。

「皆がテントに入ったら…迎えに来てほしい」

小さく微笑むとライトニングはそのまま歩くスピードを上げ、前を行く仲間たちと合流した…ようだった。
そのライトニングの背中をぼんやりと見つめていたフリオニールだったが…苦笑いと共に、その口からは漏れたのは誰にも聞こえない程度の小さな小さな呟きだった。

―元々そこまで怒ってたわけでもないけどさ…許さなきゃ仕方なくなるだろ、そんな誘い方されたら…


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