温泉へ行こう!-4/5-






岩場から離れている者たちはさほどでもないが岩場の近くにいる男性陣は自然会話のトーンが下がり、妙な静けさがその場を支配する。
次に聞こえてきたのはティファの楽しそうな声だった。

「って言うか…ライト、もしかして胸大きくなった?」

丁度その発言が成された時に湯をすくって顔を洗おうとしていたフリオニールの指の間から盛大に湯が噴き出す。

「うわっ、汚ねえなお前」
「って言うか今の発言で動揺するなって方が無理な話だろ!」

顔をしかめたジタンに対してフリオニールは…女性陣には聞こえないように小声でそう言い返す。
勿論女性陣はそのやり取りを知らないわけで、ライトニングは当たり前のようにそのティファの言葉に答えを返したようだった。

「自覚はないが…そう見えるか?」
「あ、でも…言われてみたらますますスタイルが良くなったみたいに見えるな。ユウナもそう思わない?」

ユウナの声は聞こえなかったが、そのすぐ後にティファが「やっぱりそうだよね?」と言っていたので恐らくユウナは言葉には出さずに頷いたのだろう。
フリオニールはなんとなくその会話を聞き続けることが出来ず…かと言っていくらクラウドがしっぽを固定しているとは言えジタンの近くを離れることも出来ず、とりあえず岩場に背中を向けた。
しかし背中を向けたところで会話の内容は筒抜けなわけで。

「どうした、フリオニール」
「いや、その…まあ、うん…」
「今更成長するとも考えにくいんだがな」

振り返った先にいたカインの問いかけにどう答えたものかと考えていたところで聞こえるライトニングの声。
聞いてはいけない気がしている時ほどはっきりと聞こえてしまうのは一体どういう理由なのだろうかと頭を抱えたくもなる。

「でも私聞いたことあるよ。触られてると大きくなるとかって言う…」
「…それが原因だとしたら心当たりがないわけじゃないが」

その会話が聞こえる範囲にいた―ライトニングの発言からフリオニールが連想できなかったヴァン以外の全員の好奇の視線が自分に向かっているのを感じて…フリオニールはその場から消えたい衝動に駆られるのであった。
頭を抱えたフリオニールの顔面が湯に浸かった状態になり、ついた溜め息はがぼがぼと泡になって浮かぶ。
―俺にも心当たりがあるから余計気まずい…
そんなことを考えて顔を上げる…やっぱりまだ、視線が痛い。

「って言うかもしかしてティファの胸が大きいのってそれで…ですかね」

今度はユウナがそんなことを言うのが聞こえてきて…そこでクラウドの表情が一瞬変わる。言葉にするのならそう、「余計なことは言うな」とでも言いたそうな。
しかし、クラウドのその願いも虚しく…

「うーん、それだけが原因じゃないとは思うんだけど…もしかしたら最近また大きくなった気がするのはそれもあるのかもしれないなあ」

…今度はクラウドが頭を抱え顔面が湯に沈む番だった。

「おーい、フリオニールとクラウドが恥ずかしさで死にそうになってるからそのへんで勘弁してやれー」

ラグナがけらけらと笑いながら女性陣に向かってそう声をかける。

「ああ、そう言えば今日はみんないたんだった…」
「ついいつもの調子で喋っちゃったね」
「ごめんなさい、今のは忘れてください」

ティファとティナとユウナが口々にそんなことを言う…が、彼女たちは時既に遅しと言うことに気付いているのだろうか。

「俺、上せそうだからもう出る…」

頭を抱えたままふらふらとフリオニールは温泉を後にするのであった。
と言うかいつもの調子って、いつもあんな話をしているんだろうかと考えると…自分はライトニング以外の女性陣にどう思われているんだろうと違う意味で頭が痛くなってくるフリオニールであった。


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