温泉へ行こう!-3/5-






「…なあスコール、あれどういうことだ」
「どういうこともこういうことも、見たままだ」
「いやー、フリオニールにも見せたかったよあの時のクラウドのしっぽ捌き」

ラグナは腕を組んだままうんうんと頷いている。
本当にあれはやりすぎじゃないだろうか、などと思いながらも一応ジタンの監視を請け負っているフリオニールはそんなクラウドの近くまで歩いていくわけで。

「遅かったな」
「ああ、鎧脱ぐのに手間取ってた…って言うかクラウド、何やってんだ」
「こうしておけばジタンは動けないだろう」
「いやだからクラウド、それ真顔で言うのおかしいから。オレの日ごろの行いが悪いって言うのはなんとなく分かるけどおかしいからそれ」

そんな会話をしているところでウォーリアオブライトとセシル、カインの3人が連れ立って温泉に入ってくる。

「女性陣にも声はかけておいたのでもうそろそろ入ってくると思うが、不埒なことを考えないように。特にジタン」
「いや、不埒なことも何もオレの今のこの状態で何かできると思うのかあんたは」

いつものよく通る声でそう宣言すると、ジタンの反論など気にしないようにウォーリアオブライトは温泉に身を沈める。
フリオニールもとりあえず、ジタンのしっぽを腕にくくりつけたクラウドの向かい側あたりに腰を下ろした…少し熱い湯の温度が身体の芯に伝わり、身体の奥から癒されていく感じがする。

「フリオニール、ジタンは何をしてあんなことになっているんだ」

そんなフリオニールの隣にやってきたのはカイン。兜を被っていないのでまるで別人のように見える。

「まだ何もしてないけど、何もしないようにあんなことになったらしいな」
「クラウドも無茶するな」

カインは苦笑いを浮かべている。普段その表情は口元しか見えないので、こうしてはっきりと表情をみせるカインは少し新鮮な気もしつつ…

「ネギ坊主、向こうの縁まで平泳ぎで競争しようぜ!」
「そっちの縁に行ったら向こう側が見えちゃうでしょ、もう」

ヴァンとオニオンナイトのそんなやり取りが聞こえてきたりもしつつ。
ヴァンは悪気なく見てしまいそうだ、と言うオニオンナイトの読みがしっかり当たっていたことに気付いたクラウドとフリオニールは顔を見合わせて苦笑いを浮かべるばかりであった。

「それにしてもいいお湯だねえ。兄さんにも教えてあげたいな」
「って言うかさ、ゴルベーザもそうだけどエクスデスの鎧の中ってアレどうなってんだろな」
「バッツが知らないのに俺たちが知るわけないだろう」

セシルとバッツ、それにカインがそんな呑気な会話を繰り広げていたり。

「ほら、スコールいつまで突っ立ってんスか。風邪ひいても知らないっスよ」
「そうそう、こういうときはクールなヤツも暖かくなるのがいいんだって」

等と言いながらティーダとラグナがスコールの腕を引っ張っていたり。

「なんだかんだ言ってみんな楽しんでるな」
「ああ、たまには悪くない」
「…オレはイマイチ楽しみきれないんだけど…」

フリオニールとクラウドの会話を不貞腐れたような表情でジタンが混ぜ返していたり。
そして、ウォーリアオブライトは無言のままそんな一行に視線を送りつつ…温泉を堪能しているのか肩を回したり腕を伸ばしたり。
と、そんなところで…岩の向こう側から聞こえてくる声。

「ねえ、やっぱり向こうの温泉よりこっちの方が広くない?」
「そうだな、仕切られていてこれだからここは相当面積があるようだ」

ティファとライトニングの声が聞こえてきて、フリオニールとクラウドは目を見合わせ…その鋭い視線は同時にジタンの方へ。

「だから覗かねえって。てか覗けねえから」

はぁ、とジタンがひとつ溜め息をついたのをかき消すように今度聞こえてきたのはユウナとティナの声。

「4人だとちょっと広すぎる気もしますけどね」
「そのうち、ひずみで会ったあの子…プリッシュだったかな?あの子も誘いたいね」

男たちの会話とはまた違う、声だけでも華やかに感じるその会話を…当然状況的にその姿を見るわけにも行かないが、仕切りの岩場の近くにいる者たちは聞くでもなくぼんやりと聞いている。


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