温泉へ行こう!-2/5-






さて、ウォーリアオブライトが言ったとおり一行はティナの先導の元温泉へと向かう。
途中、岩場に囲まれている小さな…確かに女性4人ならともかく大人の男が複数で入れば相当狭くなりそうな温泉を右手に見遣りながら一行は進む。

「あれが最初に見つけた温泉なの」
「あー、ありゃ確かに大人数で押しかけたらすぐ満員になりそうだな」

ラグナが楽しそうにそう言いながらそちらの温泉を見遣る。
その言葉にひとつ頷いてからティナは言葉を繋げる。

「うん。だから最初は女の子4人だけで入りに行ってたんだけど、あの子が1回酷い怪我をして帰って来たときに…」
「どうも傷が治りやすくなる効果があるみたいだから教えてあげたい、ってティナに言われて。あの子なら変なこと考えないだろうから教えてあげたんだ」

ティファがそう付け加え、その時のことを思い出したようにライトニングとユウナが頷いた。

「えー、そう言う言われ方すると教えてもらえなかったオレ達が変なこと考えるみたいじゃないっスか」
「ティーダは大丈夫だと思ったんだけどね、他の人に話しちゃうかなって思って黙ってたの…ごめんね」

ユウナが俯きながらそう言うとティーダはひとつ黙り、理由は分からないまでもユウナに対して「なんか、ごめん」と謝ったのであった。
ティーダの謝罪に、一行から笑いが巻き起こる。
その様子を後ろから見ていたフリオニールだったが、ふと気になって隣を歩くライトニングに声をかけた。

「もしかしてライトも俺が変なこと考えるとか俺に話すと他の仲間に喋りそうだと思ったりしてたのか?もうちょっと俺のこと信頼してほしいな」
「いや、お前を信じていないわけじゃないんだが…お前に黙っていたのには他に理由があるんだ」
「理由?」
「…それは後で話す」

ライトニングはそう言うと少し歩幅を上げ、2人より少し前を歩いていたティファのほうに近づいていく。
理由とは一体何なんだろうかと妙にそれがフリオニールの心に引っかかる―まあ、変なことを考えそうだったからと言われるよりは断然気分が楽なのではあるが。

そしてそこから少し歩いたところで、一行の視界が白くけむる。
ふと目をやればそこには確かに…それなりの広さがあり、岩場で仕切られたようになっている温泉があって…その光景を目にした一行からは喜びのどよめきが上がる。

「では、我々から先に温泉に入ることにしよう。全員が入り終えたところで女性陣は着替えを始めるといい」

ウォーリアオブライトが号令のようにそう言って、まずは女性陣がその場から離れ男性陣は思い思いに服を脱ぎ捨てていく。

「オレがいっちばん乗りー!」

最初に服を脱ぎ終えたヴァンが温泉に向かって走っていき、派手に水しぶきを上げて飛び込む。

「もうヴァン、恥ずかしいことするのやめなよ」

その後ろを悠々と歩いて着いていくオニオンナイト…無論、フリオニールやクラウド、ティーダの側を通る時にアイコンタクトは忘れない。
それぞれにオニオンナイトのアイコンタクトに頷きを返しながら、自分が警戒する相手の様子を横目で見ている。
ジタンとバッツ、それにスコールとラグナがその後に続き…不自然にならないようにとクラウドがその後に続く。
ティーダはその後ろに続きかけて…まだ服を脱ぎ終えていないフリオニールを呆れたように見た。

「鎧、置いてくればよかったのに」
「ああ、俺も今ちょっと後悔してる」

しかしフリオニールが纏っているのは軽鎧。全身を包む鎧を着込んでいるウォーリアオブライトやセシル、カインほどの時間はかけずに鎧を脱ぎ終えると彼もまた温泉へと足を運んだ。
自分に与えられている役割を果たす為もありすぐにジタンの姿を探す…が、しかし。

「…あのですねクラウドさん、オレ何を警戒されてんのかは自分でもなんとなく分かるけど…いくらなんでもこれはやりすぎだとオレは思うわけですけどねえ」

ジタンのしっぽを自分の腕にしっかりと結びつけたクラウドの姿をそこに見て取って、フリオニールは大きく脱力するのであった。


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