体温と自尊心-2/3-






とにかくこれ以上は何を言ってもライトニングが意思を曲げるとは思えない。
フリオニールはひとつ溜め息をつき…それでもやっぱりこの状態はカッコ悪いよなあ、と思いながらちらりと視線を移す。

「…って言うかさ、ラグナもクラウドも『代わろうか』とか言わないのか」
「いーやー?お邪魔しちゃ悪いかなと思って」

ライトニングを気遣って言ったはずの一言をラグナからからかい混じりに返されてまた違う意味で恥ずかしくなる。
クラウドは黙ったままうんうんと頷いているし。

「って言うかユウナもさ、おかしいと思わないか?ティーダが同じように脚怪我したとしてユウナ、ライトと同じことできるか?」
「ティーダが怪我したなら私もそのくらいのことはしますよ」

当たり前のようにそう言い切られ、フリオニールはひとつ溜め息をついた。
と言うより、女性と言うのはかくも強い生き物なのかと妙な感心をしてしまう。今度ティナとティファにも聞いてみるかなどと余計なことを考えたりもしつつ…

「と言うよりそんなに私におぶわれているのが嫌か」

ライトニングのその言葉がどこか不機嫌にも聞こえた気がして、フリオニールは慌てたように首を横に振る…しかし首を振ってみせたところでライトニングには見えないのに気付き、改めて声に出す。

「嫌なんじゃなくて…やっぱりちょっと、恥ずかしいって言うか…」
「別に恥ずかしがる必要はどこにもないと思うが。今のお前は怪我人なんだから」

とりあえず、今のライトニングには何をどう言っても通用しそうにない。
フリオニールはいい加減諦めて、素直にその背中に身体を預けることにした。

「もうすぐ着くだろう…俺は先に帰ってポーションを貰って来る」

自分も怪我をしているからだろうか、スコールがそう申し出て早足で歩き始めた。
その時一瞬ちらりとラグナやクラウドを見て…それに対して納得したようにラグナが頷く。

「じゃ、俺もスコール君と一緒に行くことにしますかね。な、クラウドにユウナ」
「…そう…しましょうか」

ラグナの言葉にユウナは納得したように頷き、同じように足取りを速めるふたり。
そしてクラウドも無言で早足になる…

「って、お前ら…!」
「行かせてやれ。…気を使ってくれたんだろう」

表情は見えないがライトニングの視線は恐らく仲間達の姿を捉えている…なんとなくだが、フリオニールはそんなことを思った。
そしてフリオニールも同様に、去っていく仲間たちの背中を視線で追っていた。

「気を使って、って」
「お前があまりにも恥ずかしがっているから、だろうな…と言うより何がそんなに恥ずかしいんだ」
「いや、それはほらやっぱ…」

なんとなくこの状態でいると、普段自分が女心がわからないということで悩んでいるのも仕方がない気さえしてきてフリオニールはひとつ息を吐く。


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