心の靄を晴らすのは-4/4-






「かも知れない…まあ、あの人の場合『興味本位』が加わるかどうかは分からないけどさ」

そこで握り合わせた手を解き、フリオニールはライトニングの肩にそっと手を回して自分の方へ引き寄せる。ライトニングはその肩に頭を預けてフリオニールの言葉の続きを待った。

「そこまで全部踏まえた上で、俺にとってはもう笑い話になっちゃってるんだけどさ…でもやっぱりカッコ悪いし、何よりそう言う話を聞くとライトが嫌がるかなと思って自分からは話せなかった」
「別に私はお前がそのことを話さなかった事実を責めているつもりはない…ただ、お前にそんな一面があったってことがなんだか意外で、それで…ちょっと気分が晴れなくて、な」

そう言えば自分はいつからこんなにフリオニールには素直に感情を話せるようになったのだろうか、などとライトニングはふと思う。
フリオニールはライトニングの言葉を聞いたところでその肩を強く引き寄せる。
そのままフリオニールが頭を自分の頭に添えるように寄り添わせたのを感じて、その重みがなんだか心地よく、嬉しくもあり…フリオニールのバンダナの飾りが額にかかってなんだかくすぐったくもあり。

「…だが、お前の口から全部聞いて納得はした…すまないな、お前にも気を揉ませてしまって」
「ま、後でティーダにもう1回文句言っとくからそれは気にしなくていい。…でも、あとひとつ…分かってるとは思うけど、言っておかなきゃいけないことがある」

肩に回されていた手がライトニングの髪に触れる。こうしてフリオニールに触れられる瞬間がとても愛しくて、ライトニングは目を閉じてフリオニールの言葉に耳を傾ける。

「その時は興味本位とか、そう言うのもちょっとあったけど…でも、俺がライトを抱きたいと思う気持ちとは全く別物だって言うのはちゃんと分かってて欲しい。ライトが好きだから…その全部が欲しいって思ってるから、だから」
「…何回お前に身体を委ねたと思ってるんだ。それが分からないほど私は子供じゃないし、それに…お前のことが好きで、お前の全てが欲しいと思ってるのは私も一緒だ」

そこでライトニングが顔を上げ、ふたりの視線がぶつかる。
そのままどちらからともなく目を閉じて引き寄せあうように唇が重なり、一度離れる。
ライトニングが目を開けたとき、その瞳に映るフリオニールの瞳がなんだか熱っぽくて。
その熱がライトニングの中に違う熱を生む。そして口付けをねだるようにもう一度目を閉じた…瞬間、フリオニールの腹の虫が大きな鳴き声を上げる。
反射的に目を開けるとフリオニールはなんとも気まずそうにライトニングから視線を逸らして頭をかいている。

「…そういや俺、飯食ってなかった…」
「食事もせずに私を探しに来たのか」

くすくすと笑いながらライトニングは岩から滑り降りて砂浜へと。フリオニールもそれに続く。
フリオニールが降りてきたのを確認すると、ライトニングは少しだけ背伸びをしてその頬と、そして耳たぶにちゅっと唇を押し当てた。
そしてそのまま耳元で小さく囁く…

「続きは…また今夜、だな」
「…楽しみにしてる」

その言葉だけを交わしてライトニングは先行して歩き始め、その後にフリオニールが続く。
そう言えば戻ったらティーダに謝らなければいけないな、などと考えながら時折振り返ってフリオニールの姿を確かめる。
過去にどんなことが起こっていようとも、誰とどんな関係にあろうとも…今こうして自分の瞳に映るフリオニールが自分を間違いなく愛しているのであればそれでいい―その気持ちを新たにしていた。
それに―自分がフリオニールに散々言ったことではあるのだが…心につかえ、重く圧し掛かるものがあったとしても最終的にそれを晴らすことが出来るのはフリオニールでしかないのだ、とも思いながら。


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