同じ夢-3/3-






新しい夢が始まる…あの時確かに自分はそう思った。そして今こうして、ライトニングと再会できたことで…「新しい夢」がまた始まる。

「君だってコスモスの為に戦っていた戦士なんだ。一度敗れたとは言え、君にもあの世界を見る資格はあると思う…」
「…一から十まで全部聞いて思ったが…やっぱりお前らしい」

くすくすと笑いながらライトニングはフリオニールの瞳を見つめ返し、そしてそっと唇を重ねた。
フリオニールは目を閉じてその口付けを受け入れ、そして再びライトニングの背中に腕を回す。
触れ合った唇が離れ、フリオニールは恥ずかしそうに笑いながらライトニングの瞳を真っ直ぐに見つめた。

「自分では子供っぽい夢だって思ってるけどな。あの時見てたのも…今も」
「だが、お前にとってはそれが戦う理由なんだろう。仮にその夢が子供っぽいとしても、それがお前にとって戦う理由になるのならそれは誰にも否定できない」

そしてライトニングの手がフリオニールの頬に触れた。
その手は暖かくて、そのぬくもりが心地よくてフリオニールは再び目を閉じる―

「なあ、フリオニール」
「ん?」
「私もそれを戦う理由にしていいか…お前と一緒に、この世界に花をもう一度咲かせてみるのを」

ライトニングのその言葉に、フリオニールの脳裡には先の戦いで仲間達から言われたことを思い出した。
同じ夢を見たい、と。それがみんなの夢になればいいと―
それが少し恥ずかしくもあり、そして―皆で同じ夢を見ていることが心強かったことがはっきりと思い出され、フリオニールは小さく微笑んだ。

「なんか…気がついたらみんな俺と同じ夢をみるようになるんだよなあ」

冗談めかしてそんなことを言いながら、ライトニングを抱きしめる腕の力を強める。
仲間達とも追いかけた同じ夢を今、一緒に見たいと言ってくれる人がここにいる―それを確かめるかのように。

「いいに決まってるだろ?ライトと同じ夢が見られるのなら俺は戦うことに迷ったりしない…君の夢を叶える為にも」
「ああ…私もだ。それに同じ夢を…同じ方向を向いていれば今度は、自分が正しいと信じたことを貫く為にお前を傷つけなくて済むだろうから」

顔を上げたライトニングと視線がぶつかり、フリオニールの口元には自然と笑みが浮かぶ。
ライトニングのためだけではない。他の仲間たちのためにももう一度この世界に花を咲かせてみせる―
ただその時に、隣にライトニングがいれば。同じものを見て、同じ目標の為に共に戦うと誓ってくれるライトニングが側にいてくれるのならば…

「…ありがとう、フリオニール。この世界で…絶望に囚われた世界で、私の希望になってくれて」

自分が言おうとした言葉をライトニングが先に言ってフリオニールは少し面食らう。
そう、この世界に希望など存在しないかのように見える。だが、その世界でも…夢を追い続けられるのは、きっと―ライトニングが側にいるから。
だから。

「ありがとうを言わなきゃいけないのは寧ろ俺の方だと思うけど」
「…だが私がお前に感謝しているのも事実だ。お前がいなかったら私はとっくに戦う意味を見失っていた気がするからな」

呟いたライトニングはそのまま再びフリオニールの胸に頭を預ける。
フリオニールは自然とその頭に手を当て、ライトニングの髪に触れた。

「ライトはそんなに弱くないだろ?」
「仮に私がどんなに強かったとしても、時には不安になることもあるさ…だがその時、隣にお前がいてくれるだけで私の力になる」

ライトニングはきっと、気付いていない―フリオニールは手に触れる薄紅色を指に絡めながら心の中だけで思った。
自分の為にそう言ってくれるライトニングがそこにいることがフリオニールにとっても力になっているということを。
この世界の中でこうして、共に想い支えあえるライトニングがいる事で自分にとっても何よりも大きな力になるのだということを―


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