乙女達の密談-3/3-






「…でも、私は…確かに素直じゃないけどでも、そんなあの子のことが大切。それは、ライトもでしょ?」
「ああ。色々鈍いし時々信じられないようなことを言い出すが…そんなフリオニールだから私は惹かれた」

そこでティナとライトニングは再び顔を見合わせる。
そう、何が似ているとか似ていないとかではなく…自分たちはたった一点、大きな共通点があるのだということに気付いたから。

「大好きな人が近くにいるのって、素敵なことだね」
「そうだな。そして、一番近くではっきりと愛されていると自覚できる…とてつもなく幸せなことだと思うんだ、私は」

その言葉と同時に、2人の視線は同じ方向を捕らえる。
何の偶然だろうか、フリオニールとオニオンナイトが並んで歩いている…表情から察するに、フリオニールの発言を聞いてオニオンナイトが呆れている、といったところだろうか。
その様子を見ている2人の口元には同じような微笑が浮かんでいた。

「でも、意外だったな」
「何がだ」
「ライトはそんな風にはっきりと、フリオニールのことが好きって口にしたりしないって勝手に思ってた」
「事実は事実だからな。今更否定しても仕方ないと思っている…公言するつもりはなかったが、隠すつもりもなかったし」

そこで、自分たちの視界の先で歩いていた2人がこちらに気付いたらしい。
顔を見合わせて頷きあったフリオニールとオニオンナイトは2人並んでライトニングたちの方へ駆け寄ってくる。

「珍しいね、ティナとライトが2人なんて」
「うん、ちょっと色々お話をしてたの。ね、ライト」

ティナのその言葉にライトニングはああ、と短く返す。
そんな2人を見上げていたオニオンナイトの手を、ティナがそっと取った。

「ねえ、今からちょっといいかな?話したいことがあるんだ」
「僕に?うん、いいよ。じゃーねフリオニール、今度は勝手にアクセサリ持ち出して壊さないでよ」
「だからアレはちょっと間違えただけだって言ってるじゃないか」

立ち去り際にオニオンナイトはそれだけ言い残して、ティナに手を引かれるままに立ち去っていった。
その背中を見送りながらはぁ、とひとつ息を吐いたフリオニールの様子がおかしくてライトニングはくすくすと笑いを浮かべる。

「それにしても仲いいな、あいつら」
「ああ…だが」

ライトニングはそこで言葉を切り、ティナとオニオンナイトが歩いていったのと反対方向に足を向けた。
だが、の続きはフリオニールには言わなくていい。自分たちだってきっと、そう見えているんだということ。

「ライト?」
「…行こうかフリオニール、私は特に話があるわけじゃないが…少しお前と一緒にいたい」
「ああ…じゃ、お供するよ」

ライトニングの言葉に嬉しそうな表情を浮かべ自分の後ろについて歩き始めたフリオニールの顔を一度だけ見遣り、ライトニングはそのままかすかに笑みを浮かべて歩き始めた。
愛する人が近くにいる幸せを、強く噛み締めながら。


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