愛の食卓-1/3-






それは、一度還った戦士たちと一度消えた戦士たちが再びこの世界に集い、かつて秩序の神に与していた者たちが自然と集い共に旅を始めて間もない頃。
ライトニングとフリオニールが先の戦いの時に確かめ合った想いを取り戻し、再び互いに向けて愛情を注ぎ始めたばかりの頃の出来事―

「…あのー、ライトニングさん?」

ラグナは目の前に置かれた皿を見て恐る恐ると言った風情で皿を置いたライトニングに声をかける。

「どうした、ラグナ」
「いや、どうしたラグナじゃなくて。流石にこれはどういうことなのかオレも聞きたいっス」

実際声をかけたラグナ本人ではなくティーダがそれに同調する。
ラグナとティーダの言いたいことが分からず、ライトニングは首をひねる…
その様子を横から見ていたカインが横から口を挟んだ。

「…とりあえず2人の言いたいことは俺にも分かるから俺が代わりに聞こうか…ライトニング、これはなんだ?」
「何って今日の夕食だが」
「これのどこをどう見て夕食に見えるのかなあ」

そこでオニオンナイトの遠慮のない一言。遠慮がないと言うよりもまあいつもの彼らしいとでも言うべきか。
確かに、皿の上の「物体」はどう好意的に捉えても…食べ物であるようには見えない。
ところどころ焦げているのにところどころ融けている、しかもなんだかフォークで突付いた感触が…表面はぐにゃぐにゃしているのに内側はかっちりと硬くなんとも言いがたい不思議な感触。
それと、恐らく本人は温野菜のつもりなのだろう水分が出てどろどろになった野菜が添えられている。
今日の食事当番はライトニングで、そしてライトニングが食事当番を担当するのはこれが初めてなので皆まさかこんなものが出てくるとは思っていなかったようで…全員、表情がどこか微妙な色を漂わせている。

「まぁまぁまぁ、ほらバッツの時の例があるし!食ったら美味いかもしれないし!!」

ジタンが必死でフォローするようにそう言う。
彼が言う「バッツの時」とは、数日前にバッツが食事当番だったときにやはりどう見ても人間が食べるものには思えないような料理を出してきたのだがこれが食べてみるとかなりの美味で全員が驚いた時のことを指している。

「でもバッツの時は見た目はアレだったけど美味そうな匂いさせてたし…でもこれ」
「ヴァン、今それを言うな」

何かを言いかけたヴァンの言葉をスコールが遮る。彼がこういう場で積極的に口を出すのは珍しい…と言うよりもはや非常事態の域に達しているとも言えるかもしれない。

「こほん。とりあえず、今日の食事当番が作った食事だ。君たちがどう思おうとこれが今日の夕食なのだからきちんと食べるように」

そう宣告するウォーリアオブライトの表情が…普段から無表情だがいつもより更に固く見えるのは気のせいだろうか。
勿論、一行をリーダーとして率いているウォーリアオブライトのその言葉に逆らえる者がいるはずもなく…一行は小さく「いただきます」と声を揃えて目の前の食事らしきものを口に運ぶ。


←  Next→





SHORT STORY MENU / TEXT MENU / TOP
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -