未来まで繋ぐ鎖-4/4-






「もしもお前と離れた後私が何かに縛られるとしたらそれはお前じゃない、お前を愛している私自身だ―だが、縛られたまま幸せを探すのも悪くはないと思っている。少なくとも、私はな」

付け加えた言葉と自分を見上げる視線…ライトニングの言いたいことはそれだけでなんとなく伝わってきた。
それにどう答えを返したらいいかと思案していると、ライトニングは大きく溜め息をつく。自分の言いたいことが伝わらなかったと勘違いでもしているのだろうか、その後に続いた言葉は―声は、なんとなく寂しそうにすら聞こえて。

「…勿論それをお前に強いることなどできるわけがないのは分かっているが」
「そんなこと言うなよ…分かってるだろ?俺がどのくらいライトを好きか。それに、俺にひとを愛することを教えてくれたのはライトなんだ、だから―」

そこまで一気に言い切ったところでフリオニールは目の前のライトニングの表情が穏やかな笑みを湛えていることに気がついた。
ライトニングの表情に、自分があまりに必死になりすぎていたのではないかと思い当たり…不意に恥ずかしくなって、ライトニングから視線を反らしたまま口だけを動かして言葉を繋ぐ。

「だから、その…俺だって、ライトを忘れたりしないしできない。俺もきっと、ライトを愛してる自分に縛られて生きて行くんだと思う…でも、それが嫌だとか辛いとか考えてもない。ライトが俺を変えてくれたから」

自分でもあまりにもはっきりしない口調だと思いながらそんなことを呟いて、ようやくフリオニールは視線を動かしてライトニングの方を見る。
その表情は自分が良く知る、暖かな笑顔。冷たい性格の彼女が自分にだけ滲ませる、心の奥底に秘めた優しさを確かに感じる―フリオニールの大好きな笑顔だった。

「つまりはお互い様と言うことだな…それならごちゃごちゃ考えるまでもない。お前の存在が未来の私の幸せの邪魔になったりはしないし、それどころか今お前の存在がなくなったらその分『今の私』からは幸せが遠のく」
「そう言う言い方をされると俺…離れられなくなっちゃうだろ?」

返した言葉と共に浮かんだ苦笑いは決してライトニングを咎めるためのものではなかった。
今のライトニングの幸せに自分が必要だと言うのなら―自分は、ライトニングから離れたりしないし、できない。
未来のライトニングに対しても―ライトニングがそれでいいと言ってくれるのならば。物理的に寄り添っていることは出来なくても、心はライトニングの側にいられるのなら―それでもいいのかもしれない、と。そう考えているフリオニールの表情は、自分では気付いてはいないがとても穏やかなものだった。

「ほら、考えすぎると泥沼になる一方なんだから考えすぎない方がいいって言ったでしょ」

遠くからふたりの姿を見ていたオニオンナイトの言葉に、話の概要を聞いていたティナが笑顔で頷いていたことにはフリオニールは気付いてはいない。


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