未来まで繋ぐ鎖-3/4-






「…俺、ライトのことが大好きなんだ」

意識したわけでなく少し落とした声でそう呟き、ライトニングのほうに視線を送る。自分の姿を映した空色には微かに驚きの色が混じり、その唇が微笑みの形に変わる。

「そんなことは重々良く分かっているが…今更そんなことを、それも急に言い出す必要があるのか?」
「うん…俺さ、凄くライトのことが好きで…だから、隣にいられなくなった後に俺の存在がライトの幸せを邪魔してしまうんじゃないかって、ずっとそう考えてた」

フリオニールの言いたいことに疑問を抱いているのだろうか―ライトニングは小さく首を傾げてみせた。
その動きに誘われるかのようにフリオニールは言葉を繋ぐ。自分の言いたいことを、どうにかライトニングに分かってもらいたくて。

「もしもライトが元の世界に還った後、元の世界で好きな人が出来たとしてさ…その時に俺の存在がそれを邪魔しちゃうんじゃないかってことを考えてたんだ。でも」

一度は視界に捉えたライトニングの顔をもう見ることが出来ず、フリオニールはゆっくりと視線を伏せた。
今ライトニングはどんな顔をしているのだろう、それが気にならないわけではなかったがどうしても視線を上げることが出来なくて―多分、ライトニングはまたつまらないことを言うなと怒るんだろうなと想像がついたから。
だが、ここまではつまらないことかもしれなくても―今のフリオニールにとって大切なのは、「でも」の続き。

「俺はライトを好きになって変われたと思ってる―もしもライトが俺を好きでいてくれることで同じように変われたとして、そのことで元の世界に還った後ほんの少しでも幸せに近づけるんならそれでいい、って―結果として俺のことを忘れてしまうとしても」
「つまらないことを言うんじゃない」

ライトニングの声には微かに怒りが含まれている―続きを話しても結局怒られるのでは始末に終えない。そんなことを思いながらフリオニールはちらりとだけライトニングに視線を送った。
整った横顔にはフリオニールの想像通り、微かに怒りの色が宿っている。それと共に、何処か寂しそうにも見えて―何故だろう、目が離せなくなっていた。

「私は忘れたりしない―例え元の世界で誰と出会い誰を愛したとしてもお前を忘れたりするわけがない」
「…ライト」
「自分で言っただろう、お前は私を好きになって変わったと。私だってそうだ…誰かを愛するということをお前に教えられた。例え元の世界でお前でない誰かを愛することが出来たとしたらその影にはお前の存在がある。お前を忘れたりできるものか」

ふっ、とライトニングの表情に浮かんだ怒りの色が消える。その瞳がフリオニールの姿を捉え、表情に満たされるのは優しさの色―彼女を覆う冷たさの奥に潜ませたその色はフリオニールにとっても見慣れたもので。


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