未来まで繋ぐ鎖-2/4-






「僕はずっとティナの隣にはいられない。でも、僕はティナといる事で何かが変われる気がしてるしティナもそう思ってくれてるって信じてる…元の世界に還ってもそれが変わることはない、って思ってるよ」
「…そう言う考え方もあるか…でもライトは元々大人だし、俺の存在で何かが変わることなんてあるのかな」
「僕には、少なくともひとりでいる時のライトとフリオニールと一緒にいるときのライトは別人みたいに見えるけどね。そう考えたら何かは変わってるんじゃない?」

にぃ、と自分に笑いかけるオニオンナイトはなんだか悪戯をしている最中の子供のようで―言っていることは大人びているくせに、こんな時に見せる表情はまるっきり子供なのだからオニオンナイトは面白い。
からかうなよ、なんて簡単な言葉しか出てこなかったけれど、それでもオニオンナイトの言葉にフリオニールは自分の中にある迷いがひとつ消えたような気がしていた。
オニオンナイトのような少年でさえ分かっている、いつかは離れなければならない愛する人に自分ができること…18歳はまだ子供だ、なんて言われるかもしれないがそれでも自分なりに考えなければならないのではないかと思わされる。

「俺ももっと色々考えた方がいいのかもしれないな」
「だから、フリオニールの場合は考えすぎると逆効果なんだってば」

はぁ、と再びひとつ息を吐いたオニオンナイトは、ぽんと自分の胸を叩いてみせる。自信ありげな表情を浮かべたまま、その視線はフリオニールを真っ直ぐに見上げていた。

「自分の気持ちを信じていれば道は開ける。僕はそう信じてるから…フリオニールもきっとそうなんだと思うよ」
「自分の気持ち、か」
「それならきっと、フリオニールにもきっと答えははっきりしてるんじゃない?」

それだけを言い残すと、オニオンナイトは少し歩幅を上げて前の方へと移動していく。その背中は少し前を行くティナにすぐに追いついたようだった。
ティナを見上げ何事か語りかけるオニオンナイトの表情は、普段自分が見ている彼のものとは全く違う。
ティナといることで何かが変われる気がする。彼のその言葉を証明するかのような、明るくてはつらつとしたその笑顔―
例え未来のティナの側に自分の姿がなくとも、今自分を変えている存在だとはっきりと認めたオニオンナイト。あんな子供にでさえ分かっていることに対して、何故自分は戸惑っていたのだろうか…
そう思うといてもたってもいられなくなってフリオニールは駆け出していた。
向かう先は、仲間達の一群の中先頭近くを歩いているライトニングの隣。

「…考えすぎるのは良くないって僕が言った意味、分かったのかな」

走るフリオニールの背後で、オニオンナイトがそんなことを呟いていたのを…そして、それにティナが「何が?」と問いかけていたのは、フリオニール本人は気付かないままに。

足音に気付いたのか振り返ったライトニングの表情は何処か穏やかにも見える。足音でそれがフリオニールのものだと気付いていたのだろうか―そう思うとなんだか不思議と嬉しくなったりもして。
フリオニールがそんなことを考えているのを知っているのかいないのか、ライトニングは薄く笑みを浮かべたままフリオニールに視線を送る。ライトニングの隣にはユウナがいたが、フリオニールの存在に気付いたのか少し歩調を落としてふたりから離れていった。

「どうした、そんなに慌てて」
「ライト、俺さ」

思いついたことを口にしかけて、ふと辺りを見回す。これからしようとしているのは他の仲間に聞かれてしまうのは流石に気恥ずかしい話ではあるわけで―だが、皆それぞれに自分の近くにいる仲間との会話に夢中になっている。先ほどまでライトニングの近くにいたユウナは今はティファと何事か話を始めていたし。
それを確かめると、フリオニールはまずどう切り出すべきかと思案をめぐらせるように視線を上方に送る。その自分の視線の行く先をライトニング瞳が共に追いかけていることには気付かないままに。


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