愛し方の迷い道-3/4-






翌朝、まだ空が白みきれないような時間。
物音に気付いて目を覚ましたライトニングがテントを出ると、そこには昨日ひずみに向かった仲間達が顔をそろえていた。
それなりに疲れた様子ではあるものの、収穫もあったようでなにやら荷物を囲んだまま話し合っている…どう声をかけたものかと思案しているところで、カインがライトニングに気付いたのか一瞬視線を送り、フリオニールの腕の辺りを軽く手でつつく。
それで気付いたのかフリオニールもライトニングの方へと視線を向け、疲れを滲ませたままながらも笑顔を浮かべるとライトニングのほうへと歩み寄ってきた。

「ただいま。あと…おはよう」
「ああ、おかえり」

短いそのやり取りの後、ライトニングは微かに視線を伏せる。
前の夜に考えていたことを口に出そうにも、この場には他の仲間もいる。そんな中で堂々と、あまり外聞がいいとは言えないようなことを話すのも躊躇われて言葉を濁していると、それに気付いたのかスコールが促すように他の仲間に目配せをする。
それと共に他の仲間達はテントへと足を進め、残されるのはライトニングとフリオニールのみ…

「気を使わせてしまったかな」

ぽつりと呟いたライトニングの言葉に、フリオニールは照れくさそうに笑みを浮かべる。
そのままライトニングに歩み寄ると、先ほどスコールが仲間達にそうしたようにライトニングに目配せをしてそのまま歩き始めた。
いくら仲間達がテントの方に向かったとは言え、他の仲間がいつ起き出して来るか分かったものではない。そのことを勘案した上でのフリオニールの行動にライトニングは心の中だけで礼を言いながらその一歩後ろを着いて歩き始めた。
そして少しだけ野営地から離れた辺りに来たところでライトニングは少し躊躇いがちながらも口を開く。

「…こんなことを言うとお前は笑うかもしれないが」
「ん?」
「お前がいない間、寂しかった」

ライトニングのその言葉に、振り返ったフリオニールは一瞬驚いたように目を丸くして―すぐに、その顔には笑顔がこぼれる。
だがそれはライトニングが予想していたような、可笑しいから笑ったというような類ではなくどこか嬉しそうなもので―だがすぐに表情を引き締めると、ライトニングの方を真っ直ぐに見つめ返した。

「すまない、笑うつもりはなかったんだけど…その、なんていうか…嬉しくて、つい」
「嬉しい、か」
「ああ。だってライトはいつだって凛としてて、強くて…そんな風に、俺に弱さを見せてくれることなんてあんまりなくてさ。でもたまにそう言うこと言ってくれると…やっぱり、嬉しいなって思うよ」

そうか、と短く返した自分の声が何処か弾んでいるような気がしたのはライトニングの気のせいだったのだろうか―それは、ライトニング自身にも分からなかった、けれど。
だが、なんだか…フリオニールには弱さを見せてもいいんだと赦された気がして、ライトニングは言葉を繋いでいた。

「私は…弱さを見せてはいけないような、そんな気がしていたんだ。それが例えお前であったとしても」

足を止めることなく、歩き続けながらライトニングは言葉を繋いでいく。
考えていることはまだとりとめもなくて、ぼんやりとライトニングの中に浮かんでいるだけではあったけれど―言葉にすることで、それがまとまっていくような奇妙な感覚を覚えていた。


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