私とワルツを-6/6-






「ねえ、クラウド。私もなんだか躍りたくなってきちゃった…ダメ、かな」
「折角だから、わたしたちも…ね、ティーダ」

ティファはいつもの天真爛漫な笑顔で、ユウナは少し恥ずかしそうに頬を染めながら…それぞれに、目の前にいる愛する人へと手を差し出す。
その行動に一瞬顔を見合わせたクラウドとティーダであったが、すぐに差し出された手を取り先ほどまでフリオニールがライトニングにそうしていたようにその身体を抱き寄せる。
舞台の片隅に座ったままその様子を眺めていたオニオンナイトはほんの少し逡巡する様子を見せながらも、思い立ったようにティナに駆け寄っていった。

「確かに僕の方が小さいのは事実だし、格好つかないかもしれないけど―ティナ、僕と踊ってくれる?」
「…喜んで」

オニオンナイトが遠慮がちに差し出した手を、ティナはゆっくりと握り返す。

「…ってことはやっぱり…」
「私たちも、もう一度踊らないといけないんだろうな」

最初に浮かんだのは苦笑いだがすぐにその表情は柔らかく解れ、再び先ほどまでのようにフリオニールはライトニングの腰に手を回しライトニングはフリオニールの肩に手を置いた。
そしてそれを確かめるかのように、再びバッツがピアノの鍵盤に手をかける―流石に3度目ともなると流暢に弾きこなされるワルツに、手に手を取り合った4組のペアは舞台の上で、それぞれにワルツを踊り始めた。

「そう言えば」
「ん?」

踊りながらふと思い出したかのように、フリオニールが口を開く―

「俺、てっきりライトはこんなの嫌がるかと思ったんだけど…どういう風の吹き回しだ?」
「大したことじゃない…つまらない嫉妬だ。私らしくもなかった」

それだけ言うとライトニングは自分がリードするかのようにフリオニールの肩に添えた手を大きく引く。
その言葉にフリオニールは小さく首を傾げたが…すぐに気づく。ライトニングが、かつて自分が元の世界で仲間とワルツを踊ったというところにやきもちを焼いていたのだと言うことに―
普段はそんな感情を表に出すことのないライトニングのその言葉がたまらなく愛しく思えて、フリオニールは口の端に微かに笑みを浮かべた。

「…ライトってたまにそう言う可愛いところ見せるよな」

ほんの少しからかうように囁いたその言葉に対してライトニングはもう返事を返すことはなかった、が。


「ところで…『風紀が乱れる』とは言わなくていいのか?」
「構わないだろう…ただ踊っているだけの者達にそんな疚しい感情を見出すことが私にはできない」

スコールの問いかけにそれだけ答えたウォーリアオブライトが何故か―ほんの少し彼らを羨んでいるように見えたのは…もしかしたら気のせいではなかった、のかもしれない。


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