戦うさだめと青い空-3/3-






「俺はこの夢を諦めたりしない。この夢をかなえた時、新しい夢がまた始まる―そうやって夢は繋がっていくって、俺は信じてる」
「…お前はきっと元の世界でもそうやって、平和な世界を作って行くんだろうな。私や仲間達に見せた強さを元の世界の仲間へ向けて」

愛しむようなライトニングの視線がフリオニールの瞳を捕らえる。絡み合う視線が微笑みを交し合う―そこにあるのは、互いへの強い信頼。それはきっとこの世界を離れ、元の世界に還ったとしても心の奥で繋がり続ける絆。
だが、それはまだ…今のフリオニールにとっては確定していない未来の話。今フリオニールの目の前にあるのはこの世界で叶えるべき夢とそして…

「そのためにも俺はこの世界を平和にしなきゃいけない。自分自身のために、それと…ライトの為にも。例え離れてしまってもライトがくれた強さを忘れないように」

隣にいられなくなっても消えることのない想い…それを確かめるようにフリオニールはライトニングの頬を引き寄せる。それだけでライトニングはフリオニールがしようとしていることに気づいたのか、目の前にあった空色の瞳は瞼に塞がれて…
微かに身体を起こし、目を閉じたライトニングに顔を近づける。ごくごく自然に重なり合った唇の柔らかさとぬくもりが想いの強さをフリオニールの心にしっかりと刻み付け―そして、一度唇が離れ、自然と開かれた瞳が互いの姿を捉えあった。

「…愛してるよ、ライト」
「ああ、私もだ」

ぶつかり合う視線に微笑みが混じり、そして再びライトニングが瞳を閉じる。そのままフリオニールは再び顔を近づけ―

「…せんせー、フリオニールくんとライトニングさんがなんかイチャイチャしてまーす」
「仲間の目を盗んで白昼堂々イチャイチャしてまーす」
「…誰が先生だ、誰が」

唇が触れ合う手前のところで聞こえた声に、ふたりは慌てたように身体を離して顔を上げる―そこにいたのはジタンとバッツ、その後ろにスコール。

「お前ら、こんなところで何を…!」
「それはこっちのセリフだって。オレたちはもうちょっと高いとこ上ってみようぜって話になって来てみただけだぞ」
「姿が見えないとは思ってたけどまさかこんなとこでイチャついてるなんて誰も思わないだろ」

呆れたような2人の口調に、顔を見合わせて―フリオニールとライトニングが交わすのは、今度は苦笑い。
そのまま身体を起こすと立ち上がり、フリオニールは3人の方を見た。

「…あんまり他の仲間には言うなよ、今見たこと」
「ああ。暫くオレたち3人での話のネタにはするけどな」
「それもやめてくれ、自分の知らないところで私たちの話をされていると思うと頭が痛くなる」

その言葉と共に大きく息を吐いて、先に歩き出したのはライトニングだった。フリオニールはそれ以上何も言わずにライトニングの後を追う。
そのまま、逃げるように壁を伝って下層へと下りると顔を見合わせて再び苦笑い。

「…ちょっと調子に乗りすぎたかな」
「かもしれないがお前が気にすることじゃない」

そう言いながら自分を見つめているライトニングの瞳、そしてその背後に広がる青い空。
さっき一度飲み込んだ気障な言葉がまたフリオニールの中に甦ってくる―それは口に出して言葉にはしない、けれど。

―空が見えないときでも俺の近くには何処よりも澄んだ空の色がある―それだけで、俺は戦い続けられるさ。

やはりそれがなんだか気障で可笑しく思えて、微かに口の端に笑みを浮かべながら、再び歩き始めたライトニングの後を追ってフリオニールは歩き始めた。


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