夏の色は海の色-6/6-






少し沖の方で泳いでいたフリオニールの視線が自分を捕らえているのを感じる―それに気づいたライトニングの足は自然と、海のほうへと向かっていた。
一緒に泳いでいたらしいウォーリアオブライトは砂浜の方に身体の向きを変えたが、フリオニールはそこから動くことはない。不審に思ったライトニングは自然とそちらの方へと近づいていった。
フリオニールがいるあたり一帯は丁度ライトニングの胸の高さよりやや深い程度で、歩いて進むには少々困難が伴う。それに気づいて泳いで近づいていくと丁度ウォーリアオブライトがフリオニールから泳いで離れようとしているところだった。

「では疲れたらいつでも浜のほうに戻るんだぞ、フリオニール」
「あ、ああ。心配しなくても俺は大丈夫だから」

そんな会話を聞き、海底に足をついて立ち尽くしているフリオニールの隣にすいっと泳いで近づくライトニング…そのライトニングを見るフリオニールの困ったような表情に、ライトニングは首を傾げた。

「どうしたんだ、フリオニール。まだ泳ぐというなら止めないが」
「いや、その…えーと」

フリオニールは相変わらず困ったような表情のまま、一度ライトニングから視線を逸らす。そしてライトニングの耳元に顔を近づけ、ライトニングだけに聞こえるように囁きかける―
短く、的確にどうして自分が水から上がらないのかをライトニングに伝えるとフリオニールは再び視線をあらぬ方向に逸らした。

「…この、馬鹿」

フリオニールのささやきを聞いたライトニングの口からはそれ以上の言葉は出てこなくて―

一度浜に上がって再び海に戻った者たちも、そのまま浜に上がっている者たちもそれぞれ、自分たちが楽しむことに夢中、だった。
水を掛け合ったり遠くの沖まで泳いだり、浮き輪に捕まって波に漂ったり。また砂浜でボール遊びに興じている者たちもいた。
だから、誰も気づかなかった―いつの間にか、フリオニールとライトニングが揃って姿を消していたことに。


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