夏の色は海の色-5/6-
「なんだか楽しそうなことしてるわね」
「なあ、俺たちも混ぜてくれよ」
男性陣が飛び込んでいる様子を見ていたのか、泳ぎながらその場所にティファとプリッシュが近づいてくる。
プリッシュがやってきていたことを知らなかった者は一瞬驚きの表情を浮かべるが、細かいことには拘らない彼ららしく岩場の上から招くように大きく手招きした。
その動きに笑みを浮かべ、岩に上がれるほうへ向けて泳ぎだしたプリッシュとティファ。しかし、ティファが岩に近づいたところで岩の突起にビキニの紐が引っかかり―そのまま泳いでいたティファに引っ張られる形でビキニの紐が緩み、やがて解けてしまう。
「きゃっ…!ちょっと、待ってプリッシュ!」
「どうした?早く上がれよ」
「違うの、紐が解けて…ちょっと、待って!」
ティファのその声に、男性陣はついそちらに視線を移す。
胸が露わにならないように水着を片手で押さえたまま―勿論片手が塞がったその状態で勿論紐を結びなおすことが出来るわけもなく、そのためプリッシュに助けを求めたのだがプリッシュはどういう状況なのかが今ひとつつかめていない―その時。
「星よ、降り注げ!!」
クラウドの声と共に、上空から隕石が降り注ぐ。岩場にも、水中にも。
水柱が上がり岩場に隕石がぶつかって窪み、またある隕石は仲間の頭上へ。
「ってかこっち来たし!」
「クラウドお前、ちょっ!」
逃げ回ったり海に飛び込んだり、仲間達が降り注いだ隕石から逃れようとして岩場一帯は大騒ぎになる―その混乱に乗じてクラウドは岩から飛び降り、ティファのところに近づくと解けた紐を器用に結びなおしていた。
「…ありがと、クラウド」
「少しは気をつけろ」
「…気持ちは分からなくもないけどメテオレインはやりすぎっス」
隕石の欠片でも直撃したのか額に出来たたんこぶをさすりながら苦笑いを浮かべたティーダの言葉に、全員が大きくうんうんと頷いたのであった。
午前中のうちにやってきた一行ではあったが既に日は高くなり、思う様遊んで疲れたのかそれぞれに水から上がって砂浜に横になって甲羅干しをしたり、流れ着いた岩に腰掛けて話し合ったりしている。
そんな中、ライトニングは水を吸って重くなったアウターを次第に邪魔に思い始めていた。
確かに肌の露出を避けるという意味では有用ではあるのだが長時間水の中で、それも泳ぐとなると流石に邪魔に思えてくる。
そもそもティファは胸が引っかかったからと言う理由で付属していたタンクトップを身につけていないし、それならば自分もこれを着ている意味はないのではないかと思い始めてくる…
考えるよりも先にライトニングはトップスを脱ぎ捨てる。スカートは水を吸わない素材だった為然程邪魔と思えることもなかったので身につけたまま、一旦水から上がると砂浜にたった今脱いだトップスをたたんで置くと海のほうに視線を移した。
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