夏の色は海の色-3/6-






そうして海にやってきた一行は思い思いに海水浴を楽しんでいる。
水の冷たさは暑さを忘れさせるには充分であったし、広い海岸を自分達が独占しているようで…開放感溢れる気分で彼らははしゃぎまわっていた。
普段から楽しいことが好きな者は普段以上に明るい表情で、普段落ち着いている者もそれなりにこの時間を楽しんでいるようで。

「おーいティーダ、ユウナ」
「はい…って、きゃあっ!」

呼ばれる声に無防備に振り返ったティーダとユウナの顔面に、呼んだ張本人…バッツから遠慮なく水が浴びせられる。

「ちょ、何するんスかバッツ!」
「急に水かけるなんて、驚くじゃないですか」
「へへ、でもこれでもう8人目っと。全員びっくりさせるのがおれの目標だからな!」
「こらバッツ、お前なあ!」

驚いた表情のままのユウナとバッツを追うティーダ。ティーダの背後からカインがバッツを追いかけていたので既にカインもバッツに水を浴びせられているのだろう。
そしてカインとティーダから逃れながら今度はライトニングの方へと走っていくバッツ。
また悪戯を思いついたような笑みを浮かべ、バッツはまた気配を殺してライトニングの背後に忍び寄る…

「おーい、ライト」
「何だ…うわっ」

振り返ったところでまたライトニングの顔面に水を浴びせるライトニング。ずぶ濡れになったライトニングは黙ったまま、バッツを見据えている。

「あれ、ライトはあんまり驚かないん…っ!!」

言葉が終わるよりも前にライトニングが大きく腕を振るとその目の前に水の塊が現れ、水の塊はバッツにぶつかると大きく水柱が上がりバッツの身体を飲み込んでいた。

「…くだらないことをするな」
「ちょ…ウォタラは、反則…」

魔法で生成された水と海水が混ざったあたり一帯の水の中にバッツはごぼごぼと沈んでいったのである。無論数秒後には浮き上がっては来たが。


「…なあ、お前何やってんだ」

砂浜に寝そべっているうちに眠ってしまっていたウォーリアオブライトはそう声をかけられ、うっすらと目を開ける。
そこにいたのはしゃがみ込んで自分の顔を覗き込むプリッシュ…紺色の水着の胸元にはゼッケンが縫い付けられ、大きく「プリッシュ」と書かれている。

「君こそこんなところで何を。それにその水着は…」
「博士んとこに水着が送られてきたんだよ、名前は博士に書かれた。んで、折角だし泳ぎに来たらお前らがいたからさ…と言うよりお前、大丈夫か?」
「大丈夫とは何が………待て、一体これはどういうことだ?」

そこでようやく、自分が首から上だけ出して砂に埋められていることに気づいたのか…ウォーリアオブライトは大きく息を吐いた。

「俺が来た時はもうお前埋まってたぞ」
「人が眠っている隙に…犯人はあとで捜すことにする。とりあえず見ているだけではなく出してくれないか、プリッシュ」

無表情のまま再びつかれた溜め息に、プリッシュは笑みを返してウォーリアオブライトの身体を掘り返し始めるのであった。


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