そのぬくもりで確かめる…-3/4-






再びライトニングに攻撃をしようとイミテーションが剣を振り上げた瞬間をライトニングは見逃さない。その剣が振り下ろされるまでの間に、ライトニングの剣がイミテーションを斬り付け…大きくのけぞったところへ銃弾を叩き込む。
大きくイミテーションを吹き飛ばしたのを確かめるとライトニングはそれを好機と見て、再び小声で魔法の詠唱を始めた。
癒しの魔法の力により、腕につけられた傷は何とか痛みを感じない程度にまではふさがった。それを確かめるとライトニングは再び剣を握りなおしイミテーションの方へと身体を向ける。
これ以上戦いを長引かせるのは好ましくない。相手の方が実力が上である以上、長引かせることによって不利になるのは自分だ。
それを今一度確かめなおし、ライトニングは剣を構えたまま相手に駆け寄る―
こちらから隙を突かなくては容易に攻撃を加えることは難しいだろう、それならば隙を突くだけの話…だが、そう簡単に隙を見せないイミテーション。
このまま行けば膠着状態に陥る、と危惧したライトニングは一旦イミテーションから距離をとり、再び魔法で攻撃をしようと詠唱を始めた…その瞬間に、剣を構えたイミテーションが不意に魔法を唱え―ライトニングに向かって、火の玉が迫る。
迫り来る火炎を避けようと身を躍らせた、その先にはライトニングに駆け寄ってきていたイミテーションが迫る。振り上げられた剣が、ライトニングの方へと襲い来る―!!

「伏せろ、ライト!」

聞き慣れたその声と共に、ライトニングの目の前に現れる広い背中。
激しい金属音と共に、イミテーションが振り下ろした剣はライトニングの目の前の…フリオニールの盾によって弾かれていた。
マントはところどころ破れ、衣服には微かに血が滲んでいる。しかしそれでも目の前のフリオニールは…どこか気迫すら感じられる姿で堂々とライトニングの正面に立ちはだかりイミテーションの攻撃を弾き返している。

「フリオニール、お前…!」
「俺のことはいいから!今はこのイミテーションを倒すのが先決だ!」

ライトニングに送られたフリオニールの視線にうなずきを返し、ライトニングはフリオニールをイミテーションごと飛び越えるようにその身を宙に舞わせる。
そして剣を振りかざすと慣れたように魔法の詠唱を始めた―剣を両手に構え、その剣でイミテーションを斬りつけながら天空から雷を呼ぶ。その雷がイミテーションを撃ち、イミテーションの身体は地面に激しく叩き付けられた。
そこで体勢を立て直し、ライトニングは別の魔法を詠唱し始める。そう簡単に近づかせない為に、再び水の塊を放つと素早く地面に着地し、すぐにまた違う魔法の詠唱を始める―
その手から次に放たれたのは風の弾。イミテーションに真っ直ぐに向かっていた風はその身体に触れると竜巻となり、イミテーションを大きく空中に打ち上げた。そこへ、先刻放った水の塊が襲いかかる。
イミテーションに隙を見せないよう、ライトニングは目の前に雷の柱を落としその影から再び風の魔法を放つ…しかし今度はイミテーションはこともなげにそれをかわすと、ライトニングが放った雷の魔法の効果が切れた瞬間を狙ってライトニングめがけて剣を突き出した。
その攻撃を素早く防ぎ、ライトニングは剣を構えなおす…一歩だけ後ろに引くと、再びその剣を両手に構えてその身を回転させ始めた。そして再び天空から呼び寄せられる雷は次々とイミテーションの身体を撃ち貫く。
雷によって地面に叩きつけられたイミテーションの前にフリオニールが立ちはだかる。そして素早く脛のあたりに差した短剣を抜くとイミテーションに向かって投げつけた。
短剣はフリオニールの元へ再び引き寄せられ、それと共に引き寄せたイミテーションの身体をフリオニールの拳が殴り飛ばす。
その一撃が、イミテーションに深いダメージを与えたのを見て取ると…ライトニングは素早くそちらに駆け寄って剣を再び両手に構えた。

「どこを見ている?」

何の躊躇いもなく、イミテーションに向かって突撃するライトニング―その刃がイミテーションの胸を強かに叩き、そして切り崩す。
ライトニングの通った後に舞い散る薔薇の花びらと共に、イミテーションはガラガラと音を立てて崩れ去った―
それを確かめると、ライトニングは一瞬の間すら置かずにフリオニールに駆け寄った。

「フリオニール!大丈夫か!」
「…いや、今大丈夫か気になるのは寧ろライトのほうなんだけど…」

まだ傷が癒えきっていないライトニングの右腕を取りながらフリオニールは心配そうな瞳でライトニングを見つめている―
しかしライトニングだって気づいていないわけではない。ざっくりと裂けた腰布、その下に隠されていなければならない部分は丁度鎧が薄くなっているがざっくりとひびが入っている。
こめかみの辺りには微かに拭いきれなかったのであろう血がこびりついているし、そもそも今ライトニングの右腕を取っている左手にだって生々しい傷痕が残されていて…


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