そのぬくもりで確かめる…-1/4-






「フリオニールとはぐれた?」
「ああ。俺とあいつはそれぞれ別のイミテーションと戦っていたが…戦いが終わって、気づいたらフリオニールが近くにいなかった」

スコールの報告を受けたウォーリアオブライトの表情はどこか険しい。
このあたりには自分たちの実力を凌ぐほどの強力なイミテーションが徘徊している、その状況で仲間がひとりはぐれたというのだから無理もないだろう。
だがしかし、ウォーリアオブライトも仲間達のことは信頼しているのだろう―それにはぐれたとは言えフリオニールだって子供ではない。
冷静にそう考えた結果だろうか、浮かんだ険しい表情は瞬間的なものですぐにいつもの彼らしい表情の薄い表情に戻った。

「無論、彼も合流する為に我々を探しているだろうからそこまで慌てる必要はないだろう」
「…ただ、僕には気がかりなことがひとつあるんだ」

スコールの隣に控えていたセシルがおずおずと口を開く。その整った横顔に浮かぶ心配の色に気づいたのか、スコールもウォーリアオブライトも一様にセシルの方に視線を移した。

「気がかりなこと?」
「…フリオニールがイミテーションと戦っている姿を僕が見る限り、結構な深手を負っているように見えたんだ。戦いが終わったらポーションを渡した方がいいかもしれないな、って思ったのを覚えてる」
「…その状態で、しかもこれだけ強力なイミテーションが徘徊している場所でひとり…か」

一度は元に戻ったウォーリアオブライトの表情が先ほどよりも更に険しくなる。
無論、簡単に倒れるほどフリオニールは弱いわけではない。しかし、深手を負っていたというセシルの発言が真実だとしたら…そんな状況で、もしもイミテーションに出くわしでもしたらいくらフリオニールと言えどひとりで戦うのは厳しいのではないか…
ウォーリアオブライトが案じていることと、全く同じことをスコールもセシルも考えている。だからこそ、その次に何を言えばいいのかそれぞれが躊躇っている…そんな、重苦しい沈黙。
それでも黙っていても話は進まない。そう思ったのか、次に口を開いたのはウォーリアオブライトだった。

「全員で探しに行くわけにも行かないだろうが、誰か探しに行っている者はいるのか」
「…誰か連れて行けと言ったのも聞かずにライトが野営地を飛び出していったが」
「そうか…一見協調性がないように見えるが彼女はやはり仲間思いなのだな」

スコールの発言を受けてしみじみと頷いたウォーリアオブライト、その発言に対してスコールは信じられないものを見るような目で彼を見ている…それに気づいたのか、セシルが小さく耳打ち。

「フリオニールが言ってたよ、彼はフリオニールとライトの関係を知らないんだって」
「待て、あれだけ一緒にいるのを見ていてなんで気づかないんだ」

問い返された言葉にセシルはさぁ、と笑いながらいつものように小さく首を傾げてみせる。
スコールは敢えてそれ以上何も言わなかったが…きっといつものように、彼の心中にはウォーリアオブライトに対して言いたいことがぐるぐると渦巻いていたに違いない。


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