まどろむ夢がくれるもの-4/4-






「夢の中で…俺はライトと2人で花畑にいたんだ。色とりどりの花が咲き誇っていて…その花を見ながら、ライトが凄く幸せそうに笑ってた」

夢のことを思い出したのか、フリオニールの表情にはかすかながら微笑みが浮かんでいる。言葉にするのならそれはとても幸せそうで…彼が今言った、夢の中の自分の表情はきっとこんな感じだったのだろうとライトニングはふとそんなことを思った。
まだどこか恥ずかしそうながらも、フリオニールの言葉はそれでも続く。

「幸せそうに笑ってるライトを見てると俺も凄く幸せでさ…それに、それが俺にとっての夢だから。花を見て平和に笑っていられる世界を作ることが」
「ああ…そうだったな」
「その、平和な世界に君と一緒にいられることが本当に嬉しくてさ。本当に…幸せな夢、だった」

目を伏せたまま、笑っているような…何かを悲しんでいるような、そんな複雑な表情を浮かべたフリオニール…その表情の意味は、ライトニングにはおぼろげにではあるが伝わってくる。
幸せな夢と、そして…目を覚ました後の荒れ果てた世界と言う現実。きっと、フリオニールは今その狭間で何かを考えているのだろう…
ライトニングはフリオニールの頬に触れていた手を背中に回し、そしてその背中を軽くぽんぽんと叩いた。そしてそのまま、耳元で囁く。

「だがお前はそれを夢のまま終わらせたりはしないんだろう?言ったじゃないか、この世界にもう一度花を咲かせてみせると」
「ああ…そうだな。いつかきっと、あの夢を現実にしてみせる」

フリオニールの腕がライトニングの背中に回る。
きつくライトニングを抱きしめる腕の強さは先ほどの無邪気な寝顔からは想像も出来ないもので…先ほどライトニングの心を擽った甘酸っぱい感情とはまた違う感情が胸の中に沸き起こる。

「フリオニール」
「ん?」
「お前が夢をかなえた時…私をお前の隣に置いていてくれるか?」

ライトニングの問いかけに、フリオニールは力強く頷いた。そしてそれと共に、ライトニングを抱きしめる腕が強くなる―
その強さと暖かさがライトニングの心を強く掴む。この世界にいる間、自分はきっと―このぬくもりから離れることなど出来ない。

「当たり前だろ?俺の夢はただ花を咲かせることだけじゃない…君に、花が咲くこの世界を見せることなんだから」

先ほどまでライトニングがそうしていたように、フリオニールの手が頬に触れる。そこでかわし合った視線は穏やかな暖かさに満ち溢れていて…
たとえ今、この場所には花が咲いていなくとも。
それでも確かにここにひとつの幸せがあると、ライトニングも―そして、フリオニールもそう思いながらふたりは微笑みをかわし合った。


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