まどろむ夢がくれるもの-3/4-






「フリオニール?起きたのか?」

声をかけてもフリオニールはまだなんだかむにゃむにゃと言葉にならない言葉を発している…どうやら、はっきりと覚醒しているわけではないらしい。
まだどこかぼんやりしているらしきフリオニールにライトニングの表情にはかすかな苦笑いが浮かび、そして頬に触れているのと反対の手で軽くフリオニールの身体を揺すった。

「起きるなら早く起きろ、フリオニール」
「ん…え、あれ…え、ライト…!?」

ぼんやりとした琥珀色にはっきりと光が戻り、うっすらとだけ開かれていた瞼がはっきりと開く―その視線が、上から自分の顔を覗き込むライトニングを捕らえ、そして驚いたように見開かれた。
そのまま今自分のいる状況…ライトニングの太腿を枕にして眠っていたことに気づいたのか、慌てたように跳ね起きるフリオニール。
…ぶつからないように素早く背中を反らした為直撃はしなかったものの、一瞬動きが遅れていたらフリオニールの頭突きを真正面から食らうことになっていた、だろう。
その状況と慌てるフリオニールがなんだか可笑しくなって笑みを零すと、フリオニールはそのライトニングをまだ寝ぼけているかのようにきょとんとした表情で見つめていた。

「と言うかライト、今…その」
「ああ、木に凭れていたが転びそうだったからな」

膝枕されていた、と言う状況に今頃になって気づいたのかフリオニールは微かに顔を紅くしてライトニングから視線を反らした…今更これしきのことで照れることもないだろうに…とライトニングは思ってしまうのだが、それがフリオニールらしさだと言われたらそれは否定できない。
口に出したら怒られるだろう、と言う考えは変わらない。だが―それでも今のフリオニールを見ていてライトニングは確かに思っていた。やはりこういうところは可愛いな、と。
相変わらず微笑を浮かべながらライトニングは再び手を伸ばし、フリオニールの頬に触れる。見た目で紅くなっているのが分かるほどなのだから当然かもしれないが、掌に触れるその頬はいつもよりも微かに熱い。


「なあ、フリオニール。どんな夢を見ていたんだ?」
「え…急に何を…」

相変わらず顔を紅くしたままフリオニールは誤魔化すようにごにょごにょと何事か呟いている…
この調子でははっきりとは言いそうにないな、と察したライトニングは頬に触れていた手に力を込めてフリオニールを引き寄せ、そしてその耳元で囁く―言い逃れが出来ないことを教えるかのように。

「寝言であんなに何度も名前を呼ばれたら気になるに決まっているだろう?」
「…そ、それは」

そこで一度フリオニールは言葉に詰まって黙ってしまったが、ライトニングは笑顔のままじっとフリオニールを見つめている。その答えを待つかのように。
黙っていてもライトニングが納得しないことはフリオニールにだって良く分かっているのだろう、暫く押し黙ってはいたものの微かに視線を伏せたまま、恥ずかしそうにぽそりぽそりと言葉を紡ぐ…


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