まどろむ夢がくれるもの-1/4-






野営地の設営が終わり、ひずみの解放に向かっている仲間達が帰ってくるまでの間は彼らにとっては数少ない自由時間となる。
その間を仲間達は様々に過ごす…バッツは手当たり次第に仲間を捕まえてはその技をものまねする為にと戦っていたりするし、オニオンナイトは今日はセシルに手合わせして欲しいと願い出ている。
ヴァンがなにやら楽しそうに喋っているのをスコールが相変わらずの無表情で聞くでもなく聞いていたり、ティナとユウナがなにやら話に花を咲かせていたり。
戦いの最中とは言え、ここだけはどこか平和にすら感じられる―
そんな中、ライトニングはきょろきょろと視線を彷徨わせながらフリオニールの姿を探していた。
話があるから探していたのだが、間の悪いことに先ほどまでティーダと何やら話し込んでいて声をかけられるような隙はなく。
それは知っているのだが話が終わるのを待っている間にいつの間にかフリオニールの姿が見えなくなっている―ティーダなら何か知っているかもしれないと思ったが、わざわざ聞きに行ってまたからかわれるのも本意ではない。
そんなことを考えながら、ライトニングはいつもの見慣れた姿を探すのであった。
やがて歩いているうちに、視界の先に映る大きな木と、そのたもとに流れるかのように広がる見慣れたマントの色…ライトニングは微かに早足になってそちらに向かう…が、フリオニールはその足音に気づく素振りはない―そして見つける「いつもの姿」…座ったまま木に凭れ、腕を組み…フリオニールはぐっすりと眠っていた、のだった。
確かにフリオニールは昨日ひずみの解放に加わっていたし、随分奥深いものだったのか帰って来たのは他の仲間がとっくにテントに入り早いものなら既に眠っているような時間であった。
その後から食事をしたり、うっすらとではあったが傷を負っていたのでその手当てをしたりで…ライトニングはその様子を見ていようとしたが眠気に耐え切れず、フリオニールが寝た方がいいというのでその言葉に甘えて素直に先に寝てしまったライトニングは、結局フリオニールがどのくらいまで起きていたのかは知らない。
彼女がテントに入った後もウォーリアオブライトとフリオニールが話す声が聞こえていたりしたので相当遅い時間まで起きていたであろうことは想像に難くない。
そして朝から随分と眠そうにはしていたようだったが―眠気に耐え切れなくなった、と言うところだろうか。
事情を分かっているので起こすのも憚られ、ライトニングはフリオニールの隣に座る…
それでもフリオニールは相変わらず眠ったまま。まどろんでいるという類のものではなく、本気で眠りこけていると言ったところだろうか。
暫くは起こさないように隣に座ったままそのフリオニールの様子を見ていたが、ふとライトニングは気づく。木に凭れているとは言え、その身体は微かに傾いている…フリオニールの身体があと少しバランスを崩せば後ろに倒れてしまうのではないだろうか…と。
それに気づいたライトニングは、ぐっすりと眠ったままのフリオニールを起こさないようにその肩に手をかけ、ゆっくりと…あまり大きな衝撃を与えないようにその身体をそっと引き倒した。
そして、丁度自分の太腿の辺りにフリオニールの頭が来るようにその身体を横たえさせる―体勢としてはライトニングに背中を向けているフリオニールの、眠ったままの頭にバンダナの上からぽんぽんと触れた。
上から覗き込んだフリオニールの寝顔…その寝顔を見ていて、ふとライトニングは思う。

―眠っているとまるで子供みたいだな…

そのことに気づいた瞬間、ライトニングはその寝顔から目が離せなくなる。
よく考えてみれば、ライトニングはフリオニールの寝顔をじっくりと見たことはあまりなかったかもしれない。
夜を共に過ごしても朝を共に迎えることは殆どない。こんな風に仲間達から離れてひとりで昼寝をしている姿を見かけることはあっても、今日は話があるから起きるのを待っているだけで―普段ならば起こさないようにとその場から離れてしまうことが多かったし。


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