優しい時間-1/3-






仲間達が欲しいものがあるとき、大体ショップに向かうのはその時手が空いている者となる。
そしてその日、ライトニングはどうしてもショップに赴かなければならない用事があった―以前から自分専用に武器を誂えようと思っていたのだが材料が揃わず、漸く必要なものが揃ったため折を見てショップを訪ねようと思っていたのだった。
そのことを話すと仲間達は大概自分の欲しいものを要望してくる。やれあのアクセサリがほしいとか、やれ前から使ってみたい防具があったとか。
ライトニングがショップに行くと仲間に告げたとき、想像通り仲間達はあれやこれやと自分の欲しいもののリクエストをライトニングに託して来たのではあるが。

「いくらなんでも私1人にこれだけ運べというのは無理があると思わないのか、お前達」

手渡されたメモを片手にライトニングはただ頭を抱えるのであった。
ウォーリアオブライトからは全身鎧を頼まれていたしセシルは大盾、カインは槍でクラウドは大剣。よりにもよってこんな大型のものばかりを一度に頼むことはないだろう…と頭では思いながら、それでも自分も他の仲間に頼んでしまうこともあるので断ることも出来ず。
とかくメモを片手に、ここから一番近くにあるショップの方に脚を向けようとしたところで…丁度、この近くのひずみの下見に向かっていたらしきフリオニールが戻ってきたのが目に留まった。
フリオニールもライトニングの存在に気づいたのか笑顔で駆け寄ってくる。そしてすぐにその手にあるメモに気づいたようだった。

「ショップに行くのか?」
「ああ、前から欲しかった武器の材料が揃ったんだ。しかし、誰かがショップに行くと言い出すと皆好き勝手に欲しいものを列挙し始めて困る」

苦笑いを浮かべながらメモをフリオニールの目の前に差し出してみせると、その内容に目を通したフリオニールは瞬時に眉を顰めてみせた。
流石にフリオニールが見ても多いと思うのだろうか。彼自身は普段から自分が大量に武器を身に着けていることもあってか、どれだけの大荷物を頼まれても平然と運んではいるのだが。

「…これ、ライトひとりで運ぶの無理だろ。俺も一緒に行くよ」
「しかし、お前は今帰って来た所だろう。疲れてるんじゃないのか」
「大丈夫、今日は様子を見に行ってきただけだったから」

ライトニングがそれ以上何か言う前に、フリオニールはライトニングの隣について歩き始めた。この近くは野営によく利用するから、ショップのある場所もフリオニールはしっかりと心得ているようであったし。
多分、来なくていいと言っても着いてくる気だろうな…と思うとそれ以上断るのも気が咎めて、ライトニングは自然とフリオニールの隣に並んで歩き始める格好になった。
無論、心配されているのは分かるし自分でもこの荷物をひとりで持つのは少し辛いと思っていたのでフリオニールの申し出はありがたくはあったのだが、時にフリオニールはあまりに自分に対して優しすぎないかと思うこともある。
それだけ自分が愛されているということだろうか、と無理やりに納得することにして、ライトニングは一度仲間達のいる野営地を振り返り…少し距離が離れもう仲間達から自分の姿は見えないだろうと確信したところでフリオニールの手をそっと握った。
フリオニールもまた、握られた手に心から嬉しそうに微笑むとぎゅっとその手を握り返し…二つの影は並んでショップのほうへと向かっていった。

そしてショップではライトニングが頼んだ武器が出来上がるまでの間に他の仲間から頼まれた武具を揃え、それなりにギルや素材などを手渡してすぐに店を出た。
なるべく早く野営地に戻るつもりではあった、が…誤算だったのはこのショップが、コーネリア平原の中でもかなりメルモンド湿原に近い地域にあったということ…だろうか。


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