彼女たちの恋語り-1/3-






いつものテント、いつもの顔ぶれ。
16人で4つのテントを使う関係上ひとつのテントには4人、そして女性が丁度4人と言うこともあっていつも女性にはひとつのテントが割り振られることになる。
文字通り寝食を共にしているだけでなく、同性故の気安さ等もあって4人は誰が見てもはっきりと仲がいいと言う印象になるようだった。
かつて共に調和の神に仕えていたライトニングとティファ、それにユウナが仲がいいのは当然として、神々の戦いが終わった後に彼女たち3人とははじめて一緒に行動することになったティナも―はじめはどこか仲間に入りづらそうにしていたが、ティファの人懐っこさやユウナの穏やかさ、ライトニングの冷たさに隠した優しさに触れるうちに次第に打ち解けいつしかずっと一緒に旅をしていた友人同士のように気安く接するようになっていた。
そして一緒に行動している時間が長い為か、4人の話す内容は時にとても深いものになることもあり―
その日もまたいつものようにテントの中に車座になって座り、4人は他愛もない話に花を咲かせていた。
そんな中、ユウナが何か言いたそうにしている…最初にそれに気付いたのは、ティファ。

「どうしたの、ユウナ?何か考え事?」
「あ…いえ、違うんです。でも…」

俯いたユウナは話しづらそうにそこで言葉を切るが、意を決したように顔を上げて再び口を開いた。

「…わたし、ティーダの望むことを全てかなえてあげられているのかなと思って」
「ティーダの望むこと?」

ティファがその言葉に不思議そうに首を傾げ、ライトニングとティナは一瞬顔を見合わせる―その表情はどちらも不思議そうなもので。
3人のその様子を見てユウナは困ったように眉を下げたが、すぐに小さな声で話の続きを始めた。

「ティーダと、その…ふたりきりでいるとき…なんですけど、その」

その先をどう言葉にすればいいのかと思案している様子のユウナの頬は微かに紅い。
それを見て、ライトニングとティファにはなんとなくではあるが彼女が悩んでいる事の内容が理解できた。それは恐らく、自分自身が既に己の愛する者と「そう言う関係」であるから。
逆にティナだけは相変わらず不思議そうな表情を浮かべているのはきっと、ティナとオニオンナイトの間にはユウナが今悩んでいるような「関係」がないから―なのだろう。

「…ティーダと男女の関係になることに関して悩んでいる…と言う解釈で間違っていないか」
「そ、そうはっきり言われると…まあ、その通りですけど…」

ライトニングがあまりにもあっさりと口にするものだから、ユウナの頬はますます紅みを増す。
それが可笑しかったのかティファはくすくすと笑みを漏らしていた―ティナもなんとなく話している内容については分かったのか、困ったような表情でそんな3人を見ている。誰に視線を置けばいいのか分からないといった様子で。

「で?何について悩んでるの?お姉さんたちに話してみなさい」

冗談っぽくティファがそんなことを言ってユウナの肩に手を置く。
よくよく考えてみれば確かに、ここにいる4人で一番若いのはユウナなのだ。だからこそ、時折こうやってティファは無為に年上ぶったりすることもあって。

「さっきも言いましたけど…望むことをかなえてあげられているのかな、と思って。その、どうしても…色々、恥ずかしくて」

軽く俯いたユウナは頬だけでなく、耳まで紅くなっている。色々な会話を重ねてはきているものの、彼女はもしかしたらこう言った話題は苦手なのかもしれない。
しかしそれでも、ティファの言葉に呼応するかのようにユウナは少しだけ視線を落としたまま言葉を続けていく。

「変な話なんですけど、ティーダとそう言うことしたの…この世界に来てから、なんです。元の世界にいたときはそう言うこと…一度もなくて」
「じゃあ、まだそんなに数こなしてない、ってことよね。最初のうちは恥ずかしいのは当たり前だと思うよ。誰にも見せたことのない姿を見せることになるわけだし」

あまりにも当たり前のようにティファはそう言って、そして…自分の丁度正面あたりにいるライトニングに同意を求めるように笑いかけた。
その微笑みの意味が分かったのか、ライトニングは何かを思い出すように視線を彷徨わせ…そしてひとつ頷いてみせる。


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