リクエスト作品 | ナノ






「まず、バスソルトの作り方は深めのお皿に塩やミルクパウダーを入れて…」
「ふんふん」
「こっちは蜂蜜とドライハーブを使ってるやつで、こっちは蜂蜜と精油を混ぜたやつよ」
「あら、案外簡単にできるのね」
「そっちは普通のミルクパウダーじゃなくて、アーモンドミルクパウダーって言うのを使ってるのよ。それにドライハーブを混ぜてるの」
「おー、良い匂いがするぞ」
「悪いなチョッパー、ナース達に質問してたところを邪魔して」
「ううん、こういうのは薬の調合とちょっと似てるから俺も楽しいよ」

医務室には、ナース達がハマっているというだけあって結構な種類の入浴剤が置いてあった。混ぜるハーブや作り方を変えるだけで異なる入浴剤が作れるため、その種類は育てているハーブの倍の数はあるという。

「蜂蜜は美肌効果もあるし、保湿効果もあるからおすすめよ!」
「ナマエ隊長は前に冷え性で悩んでたから、冷え性の予防としても使っていただけると嬉しいんですが…」
「あぁ、最近はいつも使ってるよ。ありがとうな」
「………」
ふら…っ、ぽすっ
「お、おい、どうした?」
「あらあら、気絶しちゃったわね」
「まだナマエ隊長の紳士スマイルに免疫がない子だったので仕方ないですね」
「罪な子ね、ナマエ…」
「俺のせいか…?」

首を傾げながら気絶してしまったナースをベッドへ運んだナマエ。ナマエが何気なく横抱きにしたその瞬間、周りにいたナースが『紳士…』『紳士だわ…』と囁くがその声はナマエへ届かない。

「ねぇ、これから皆で一緒にお風呂入らない?」
「え?でも…」
「いいわね、折角だしこの入浴剤のどれか使っちゃいましょうよ」
「じゃあ、私船長にお願いしてくるわ!」
「あ、行っちゃった…」
「なぁなぁナマエ、俺も入っていいのか?」
「ん?あぁ、チョッパーならいいぞ」
「俺、この蜂蜜のやつがいい!」
「ふふ…分かった分かった。とりあえず、皆着替えの用意をしてきな」
「「「「はぁーい!」」」」




≡≡≡≡≡≡




「ってわけで、俺もナミもロビンも一緒に風呂入ってくるぞ!」
「チョッパーばっかずりぃ!俺だってナマエと一緒に風呂入りてーよ!」
「お前ばっか何であんなグラマーなお姉さまやナミすわんやロビンちゅわんと一緒に風呂へ…!!」
「ヨホホホホ!後でお姉さま方のパンツの色を教えてくださいね、チョッパーさん!」
「そしたらナマエが骨叩き折るって言ってたぞ」
「おやおや、これは手厳しい!ヨホホホホ!」


「……おい、聞いたか」
「あぁ、聞いたよい」
「ふざけんなよ動物のくせして俺のナマエと一緒に風呂に入るなんざ一億年早いってんだ…!!」
「エース、燃えてる燃えてる」
「…嗚呼、風呂場からいい香りがここまで漂ってくるな…」
「…イゾウにしちゃ珍しくこっち側にいるんだない。いつもだったらあっち(ジョズとか)側にいるってのに」
「俺だって好いた女が畜生とはいえど男と一緒に風呂へ入るなんざ、聞いてて殺意が湧いてきてねぇ…」
「よし、銃はよく磨いておけよ」
「ねぇサッチ、何が良しなの?どこが良かったの?」
「うるせぇハルタ!お前に男の事情が分かってたまるか!」
「俺だって男だけど!?」

モビーディック号の甲板には、殺気やら羨望やら殺意やら嫉妬やらが混ざった怨念のようなものが漂っている。そんな中、いつもの特等席に座っている白ひげは愉快そうにグラグラ笑っていた。

「ちっ…今頃あいつはナマエと一緒に洗いっこでもしてるんだろうな」
「あわよくばナマエの胸を触ってたりしてな」
「そうだったらマジであの角へし折る」
「おいおい、被害妄想甚だしいぜ?もしそうだったら俺だってあの畜生の毛皮剥いで襟巻にしてやろうとか考えてるけどな」
「イゾウの考えが一番怖いから止めなよ…」
「…よお、」
「「「!?」」」
「っ、お前は…!」
「面白い話してるじゃねぇか…俺も混ぜろよ」




≡≡≡≡≡≡




「あー、いい香り…」
「ほんと、すべすべにもなるし良いわね」
「このお湯舐めたら甘いかな?」
「…甘くないから止めとけ」
「やだー!チョッパーちゃん可愛い!」
「こっちにおいで、抱きしめてあげる!」
「ナマエ隊長も一緒に抱きしめてあげますよ!さぁ!」
「ていうか抱きしめてください!!」
「エリザ、風呂場で鼻血は厳禁だからな」

湯気で視界が僅かに白く染まっている大入浴場。そこには豊満な胸やすらりと伸びた脚を惜しげもなく曝け出したナミやロビン、ナース達がいた。その中で俺はある意味目立っているが…まぁそんなこと気にしない。どうせ俺は胸がなくたって大丈夫だ。というか戦うときに胸があったら結構邪魔なんだな、これが。

そんなことを考えつつ、自分の胸を見て周りの胸を見る。ふっと自然に自嘲的な笑みが浮かぶ。別に女は胸がないと生きていけないわけじゃないんだぞ俺、大丈夫だ俺、落ち込むな俺。もはや自己暗示以外の何物でもない。

「あ、石鹸が切れちゃったわね」
「俺が取ってくる。いつもの場所だよな?」
「ありがとうございます!ナマエ隊長!」
「もうナマエ隊長の紳士!」
「素敵!抱いて!」
「黙って風呂に入ってろ」

全く、何だってうちのナース達はあんなに騒がしいんだか…。そういえばこいつらと一緒に風呂に入ったのは随分と久し振りだった気がするな。俺が特攻隊隊長になってからは、入浴時間が合わなくていつも一人で自室の備え付きの風呂に入ってたから。

そこまで考えて、後ろを振り返る。きゃっきゃとはしゃぐナース達の声がどこか嬉しそうで、こっちも少しだけ穏やかな気持ちになった。

さて、早いとこ石鹸を持ってきてやらないとな。




≡≡≡≡≡≡




「………で?」
「いや、あの、その…」
「俺らはあの変態を追っ払おうとして…」
「別にそこは聞いてない」

風呂上りのナマエに聞かされたのは、甲板の一部が深く損傷したとこ報告だった。何事だと髪を乾かす暇もなく早足で甲板に向かったところ、そこにいたのは燃えたぎるエース、不死鳥姿で威嚇のポーズをとるマルコ、エースの巻き添えを食らったのかリーゼントを焦がしている涙しているサッチ、一心不乱に銃を乱射しているイゾウだった。そしてもう一人。

「俺が聞きたいのはお前が何でここにいるのかってことだよ、トラファルガー」
「あぁ、俺のナマエ!今日は風呂上りの姿で出迎えてくれたのか?すまないな、俺が遅かったばかりに一緒に風呂に入ってやれなくて。もしよかったらこれからでも俺と一緒に風呂に入ってあわよくばにゃんにゃんしようじゃないか!」
「……た……に、」
「ん?何だ?」
「折角、」

折角、風呂に入って疲れを癒したってのに。

「お前等全員沈め!!」




お風呂の存在意義
(疲れを癒すはずが、溜まっていく一方だ)

「あ、ナミとロビンとチョッパー」
「なーに?」
「ほら、これお土産に持って帰れ」
「これも入浴剤?」
「あぁ、ナミには蜂蜜とオレンジの精油を混ぜて作ったやつ。オレンジハニーっていうんだ」
「あたしオレンジ好きなのよ、ありがとう!」
「ロビンには蜂蜜にローズとラベンダーの精油を混ぜた、幸せのハニーローズってやつ」
「とってもいい香りね。早速明日使わせてもらうわ、ありがとう」
「さて、チョッパーには多めのアーモンドミルクパウダーとドライカモミールを混ぜたドライバスミルクだ。これならそこまで匂いがきつくないだろう?」
「丁度いいぞ!ありがとうな、ナマエ!」
「ふふ、どういたしまして。使い方はそれぞれの入れ物に書いてあるからそれを参考に使ってくれ」
「ナマエ、俺にはないのか?」
「オヤジの許可なく勝手に上り込んだトラファルガーという名の変態にやるものはないから安心してもう一回沈め」
「ぷげらっ!」
「「「キャプテエエエン!!」」」





→後書き+懺悔


 

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