リクエスト作品 | ナノ






「だってナマエ達が楽しそうだったから…」
「だって、じゃない。俺の部屋に入るんだったらノックの一つでもしろと何度も言っているだろう。何のための扉だと思ってんだ?それと、お前のせいで俺の部屋の扉を何度取り替えたか知ってるか?二桁以上だぞ?ふざけてんのか?最悪、材料が足りなくて一日扉の無い部屋で執務をする羽目になったことだってあるんだからな?しかも冬島の時だったよな?俺を凍死させる気だったのか?あ?」
「ナマエ、ナマエ、そろそろ止めてやって」
「あぁ?何言ってんだサッチ。これだけじゃ足りねぇよ。そもそもだな、先日の飢え死しかけたのだってエースが悪いんだぞ?エースがつまみ食いさえしなけりゃ…」
「う…っ、ぐす…すびっ…!うえぇええ…っ」
「ほら、もうエース涙目通り越して号泣だから」
「…今度から気を付けろよ」
「ゔん゙……っ!!」

ずびーっ!と鼻をかむエースに、あまりにも可哀想になってきたためサッチがハンカチを差し出す。眉間に皺をたっぷり寄せたナマエだが、これ以上エースに何かを言うつもりはないらしく、持っていたバースプーンをくるりと回した。

「エース隊長達もご一緒にどうですか?」
「ナマエ隊長がカクテル作ってくれるんですよー」
「シェイカーを振る姿なんて惚れ惚れしますよ!」
「の゙む゙…」
「いつまで泣いてんだよい」
「俺も欲しい!ナマエ、いいか?」
「…好きにしろ」

元々、エースに対する愚痴を溢すための場を設けたつもりだったのだが…どうしてこうなったのやら。ナマエは溜め息をもう一つ溢して、今度はシェイカーを手に取った。

「おおぉ…!」
「…へぇ」
「流石俺のナマエ…!何をやっても格好いいぜ…!!」

すっかり回復したエースの前でシェイカーを振るナマエ。(ちなみに、いつの間にかフレアバーテンディングをしていたりする。一体いつ覚えたのか。)人数が増えたため、折り畳み式の机を持ってきてリキュールやシロップ、ジュース、酒等色々並べているため小さなバーのようになっている。

「ほら、エースにはイスラ・デ・ビノスで、マルコにはブルー・ラグーン。サッチはイタリアン・サーファーな」

それぞれの前に、オレンジ、青、黄色のカクテルが置かれる。三人が礼を言ってから口を付けた。

「おぉ、カクテルってこんな感じなのか…!」
「飲んだことなかったんですか?エース隊長」
「いつものより甘い感じがするな」
「サッチ隊長が飲んでるカクテルにはジュースも入ってたりしますしねぇ」
「美味いけどちょっと物足りない気がするよい」
「あは、隊長達がいつも飲んでるようなのと比べないでくださいよー」

ノンアルコールとはいえ、気分はほろ酔いのナース達。エース達に振る舞っているのはアルコールが含まれているが、いつも飲んでいるのと比べればカクテルなど軽いものだ。(種類にもよるが。)
いつもならあまり隊長陣と会話をしないエリザでさえも、楽しそうに談笑しているところを見ると中々気分が良くなっているようだ。

隊長とナース。会話をするのは定期健診だったり怪我をして医務室へ行った時だったり、大概が事務的な内容だ。こうしてただ内容があるような無いような話で笑い合うことは多くない。元より、男と女という面から話が食い違うことも多々あるのだ。だからこうして、双方、完全な素面でないにしろ一緒に楽しく話ができるというのは中々悪くない。

「ナマエ!俺もう一杯何か飲みたい!」
「それなら私のおすすめでもどうですか?ちょっと甘めのなんですけど」
「じゃあそれで!」
「サッチ隊長もどうですか?私のおすすめ教えますよ」
「お、ならそれを頼む」
「ナマエ、俺にも何か頼むよい」
「マルコ隊長はマティーニとか似合いそうですよね!」
「ナマエ隊長!私にはナマエ隊長の愛の籠ったポートワインを!」
「……お前ら、俺がそれを全部作るっての分かってんのか?」

随分と沢山の注文がきて苦笑いを浮かべるナマエ。だが、こんなにも輝かしい笑顔で言われたのならば断われない。しかし、レシピを覚えてないカクテルまで言われたものだから、コック達が管理している書庫でカクテルのレシピを漁ってくるかと腰を上げる。

「はいはい、ちょっと待ってろよ。コック達からカクテルのレシピが何処にあるか聞いてくるから」
「ナマエ!」
「んー?」
「楽しいな!」

へにゃり、という効果音が付きそうなくらい緩んだ笑顔のエース。さっきまで一発くらい殴りたいと思っていたその顔が、あんまりにも嬉しそうに綻ぶものだから。

「……お前が楽しいなら、俺も楽しいよ」

つい、そうやって笑ってしまった。





たまには、こんな夜も


(見たか!?今のナマエの笑顔!!)
(きゃああ!今日一番の笑顔だわ!!)
(ふふ、今度こそ写真はばっちりですよ)
(でかしたわ、ナツ!)
(後でその写真くれね?)
(いいですよ。その代わり、今度サッチ隊長のナマエ隊長コレクションの中のベスト3をくださいね)
(くっ…何故それの存在を…!)
(俺も欲しいよい)
(じゃあマルコ隊長もサッチ隊長と同じものをくださいね)
(よいっ!?)
(ふふふ…隊長全員がナマエ隊長コレクションをそれぞれ持ってることなんてお見通しなんですからね…!)
(((ナース恐るべし…!)))

(ただいm…何だ、この空気)






補足?+後書き→


 

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