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「「ナマエの誕生日を祝って!」」
「「「「かんぱーい!!」」」」
夜、これから夕食という時。
ナマエの誕生日のために盛大な宴が開かれた。
「ナマエ、誕生日おめでと!」
「おめでとー!」
「つーかまだ18歳かよお前!」
「ぎゃははは!まだまだガキじゃねーか!!」
「ガキじゃねー!撫でるな!」
「ナマエ、大丈夫か?」
「に゙ゃ!?」
酔っ払ったヤツらに絡まれた挙げ句、頭をぐしゃぐしゃに撫で回されてるナマエを助けてやる。
俺が素早くナマエを担ぎ上げた時、周りのヤツらからブーイングがくる。うっせぇぞ酔っ払い共!コイツを待ってるヤツがいんだよ!
「お、降ろせリーゼント!」
「うっせ!リーゼント馬鹿にすんな!」
「知るか!離せ!!」
俺の肩の上でじたばたと暴れるナマエ。落とすぞ!と脅せば、落とせ!と言われる。何でコイツこんなに強気なんだ。
そういやコイツ、自然系の悪魔の実を食ってんだった。落としても意味無いのか。ズルイな畜生。俺とナマエでギャーギャー騒ぎながらも、目的の部屋の前に着いた。後は……
「ほれ」
ぽいっ
「!?」
「仲良くやれよー」
――バタン
あとは、アイツら次第。
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「………」
何なんだ。本当に何なんだあのリーゼント。いきなり人を部屋に投げ入れやがって。あとでリーゼント毟ってやる。
てか仲良くやれって何だ。一体誰と仲良、く………。
「……」
「…………よう」
振り返った先には、パイナップル。
「なななななな!?」
「落ち着け」
「はぷっ!」
ペシンと頭を叩かれた。何だ。何なんだ。何でコイツの部屋なんかにいるんだ俺。
「サッチに2回も頼み事をすんのは癪だったけどねい……」
じゃあすんなよ!と言う前に箱を渡される。……へ?
「…誕生日、おめでとう」
ここに来る前にも言われた言葉。皆も言ってた。白ひげも、リーゼントも、ダイヤモンドのヤツも、何かシルクハットを被ってるヤツもナースの人達も。皆。
でも、その言葉は『生まれてきてくれてありがとう』って意味だろ?
「…それは、俺に言うセリフじゃない」
俺は、生まれてきちゃいけなかったんだから。
「んなワケあるか」
2度目の、拒絶。
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俺に言うセリフじゃない?
俺は生まれてきちゃいけなかった?
「んなワケあるか」
人は望まれて生まれてくるんだ。
「お前だって生まれてきて良かったんだよい」
何を根拠にそんな事言ってんだ。
「お前は、ここのクルー達に言われた事が全部嘘だと思ってんのかよい」
そう問えば、小さく振られる首。
「だったら胸張って生きろ」
いつまでもそんな事言うんじゃねぇよい。
「ここのクルー達がお前にそんな事言ったのかよい」
また小さく振られた首。
「なら良いじゃねぇか」
ここにいるヤツらは、俺は、
「お前に、ナマエに言ってんだよい」
生まれてきてくれて、ありがとうってな
(……っ…!!)
(不安になったらいつでも言えよい)
(そうだぜナマエー!)
(俺らにもちゃんと言えよー!)
(私達にもいつでも言ってねー!)
(お前ら……)
(((生まれてきてくれて)))
(((ありがとう!!!)))
(……っ、ありがと、)
溢した小さな水滴は、
皆の笑顔に拭われた。
俺も、言いたい事があるからと、目の前のヤツの襟を引っ張って耳元に口を寄せた。
「拾ってくれて、…ありがと。マル、コ」
俺は恥ずかしくてすぐに俯いたから、目を見開いたマルコの頬が少しだけ赤くなっていたなんて知らなかった。
そして、貰った箱の中に入ってたのは少し歪んだアップルパイ。
→後書き
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