『ただいまー…』
「おかえり、アル」
『!? き、キラーさん…!?』
「今日はここで泊ることになってな。よろしく頼む」
『え、あ、あえ、』
「夕食は俺が作る。何かリクエストはあるか?」
『あ、う、え、あの、』
「ん?」
『ラザニア、食べたいです……』
「(何気に準備してないものを…)そうか。じゃあ、ラザニア生地を買いにいかなきゃな」
『あ、それなら私が、』
「いや、気にしないでくれ。バイクで行くからすぐに帰ってくる」
「お、アル。帰ったのか」
『…ただい、ま、キッド兄』
「キッド、買い物に行ってくる」
「おう。後で金返すわ」
『…キッド兄…お兄ちゃん達は?』
「ホーキンスは仕事で暫く出張で、ボニーは大学で研究するからって遅くなる。ローは泊まりだ。親父は残業らしい」
『そ……そう、なんだ…』
「………アルって、本当にキラーのこと好きなんだな」
『!? そ、そんなことないって、ていうか、何で、皆してそんな、私、!』
「…俺が悪かったから、そんな泣きそうな顔すんなって」

≡≡≡≡≡≡

『…美味しい……』
「喜んでもらえてよかった」
「キラーはカフェでバイトしてたからなァ…。一人暮らしもしてるし、そりゃ料理も上手くなるわな」
『じゃあパスタとかもできるんですか?』
「あぁ、簡単なものなら家でもよく作るぞ」
『いいなぁ…凄いなぁ…』
「ボニーだってそれくらい作れるんじゃないか?」
『……お姉ちゃんはボリューム重視ですから』
「……あぁ…」
「…この前はシチューにパスタぶち込んでたな」
『美味しいんだけどね…付け合わせに焼き鳥とか餃子とか出してくるから…』
「ボニーは大学で何を学んでるんだ…?」
「少なくとも栄養素のバランスについては学んでないな」
『あぁ、キラーさんのラザニアが美味しい…』
「(遠い目をしている…)」
「……なら、婿にくるか?」
『えっ』
「(婿!?つーか…え!?)」
『で、でも私まだ高校生ですし…』
「(問題そこか!?)」
「アルが社会人になるまで待っていよう」
「(キラーもキラーで何で許容してるんだ!?)」
『でも、私キラーさんより稼げる気がしないし…』
「(アルは婿でいいのか!?)」
「互いに支え合うのが夫婦というものだ。気にすることはない」
『え、あ、あう、え…』
「ただいまー」
『! お、お父さんだ!お帰りなさい!』
「……」
「……」
「……キラー」
「……冗談だ」


笑う仮面と真っ赤な林檎
(今は、な)

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