『メロンが食べたい』
「突然どうした」
『なんか…こう…緑色をした甘い果物が食べたい』
「いや、だから突然どうした」
『そういう時ない?ふとあれが食べたいってなること』
「うーん、確かに…あるようなないような」
『あるの』
「お、おう…」
『だからスーパー行ってカットメロンでも1/2カットメロンでもなんでもいいから買ってくるね』
「…おい、今何時だと思ってやがる」
『夜中の一時過ぎたところだね、キッド兄』
「そんな時間に外に出るような子に育てた覚えはありません!!」
『奇遇だね。私もロー兄にそういう風に育てられた覚えはないよ』
「つーか、この時間スーパー開いてんのか?」
『近所のスマイリーってスーパーは二十四時間営業だよ』
「マジか。知らなかったわ」
「はんっ、ここに住んで何年だよお前」
「(ドヤ顔うぜェ)」
『じゃあ行ってくるねー』
「待てアル!この時間帯には露出狂やら痴漢やら暴漢やらがうろついてるんだぞ!」
『いたとしても華麗にスルーしてみせる』
「いや、何でそんなに行く気満々なんだよお前。いつもはあんまり行動的じゃねェのに」
『そこにメロンが待ってるからだよ』
「変質者に対する危機感よりもメロンへの思いが勝る…だと…」
『上着よし、財布よし、鍵よし。いってきまーす』
「俺が買いに行ってやるから待て!」
『ロー兄が買ってくる野菜や果物は何故か美味しくないから遠慮しておくよ』
「じゃあせめて俺も一緒に行く!そしたら俺はアルと一緒にいれるしアルは俺がいるから安心だしで一石二鳥だ!そして帰り道は裏通りを通って俺とアルだけの禁断の時間を…!!ハアハアハアハアハア…(妄想中)」
『私、ロー兄が一緒にいる方が不安なんだけど気のせいかな?キッド兄』
「気のせいじゃねェと思う。俺が一緒に行ってやるからちょっと待ってろ」
『はーい』
「ハアハアハア…(妄想終了)…さあ!アル!お兄ちゃんの、いや旦那様の胸の中に飛び込んでおいで!」
『留守番よろしくね、ロー兄』
「何故だ!?」


真夜中のスーパー
(フッフッフ!いらっしゃいませ!)

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