『っっ、』 「うえ、」 「げぇ、」 「……、」 「うぐ、」 『…とうとう来たね、この時期が』 「…そうだな、この塩辛い味噌汁も久し振りだ」 「…あぁ、これを毎日飲んでたら血圧が物凄い勢いで上がるわ」 「…さて、誰が奴の世話をしに行く?」 「…俺はごめんだぞ。それでなくても最近あいつは俺に対して風当たりが強いからな」 『じゃあ、ここは公平にじゃんけんをしようか』 「駄目だ!それで俺は去年二日続けて負けたんだぞ!?」 「キッドのじゃんけんの弱さは最早病的だよな」 「そういうボニーは阿弥陀に弱いだろう」 「ホーキンスが裏で何かしてるからじゃんけんも阿弥陀も強いって知ってんだぞ、俺は」 『ロー兄は阿弥陀で悪い結果だったら「シャンブルス!」っていきなり叫んで紙を破り捨てるじゃん…』 「とにかく、だ」 「誰が絶賛夏風邪の親父を看病する?」 ≡≡≡≡≡≡ 「それじゃ、逝ってくる。きちんと戸締りしてから学校に行くんだぞ、アル。知らないおじさんに話しかけられても変なサングラスをかけたピンクのおじさんに話しかけられても葉巻を二本銜えてるいかにもヤクザ面のおじさんに話しかけられてもついていくんじゃないぞ」 『うん、色々突っ込みどころはあるけどベッドに行こうねお父さん』 「それから、ガスの戸締りはちゃんとするんだぞ。冷蔵庫は開けっ放しで出かけるんじゃないぞ。洗濯機の中にはローのパンツが一枚残ってた気がするから後で干しておくように言っておいてくれ」 『うんうん、もう何も喋らなくていいから分かったから早くベッドに行こう』 「待て、確か昨日雨が降った時の傘をベランダに干しておくのを忘れてた。それと、確か帰ってきた時にキッドの傘を踏んづけてしまったから買い換えておかないといけなかったような気が…」 『うんうんうん、もういいから早くベッド行ってね』 「アル、学校に行く時はきちんと戸締りをして……」 『もういいから!』 「ほぐぅッ!!!!」 『…キッド兄、お父さんをベッドまで運んでくれない?』 「…おう、任せとけ」 「粥作ったんだが…間に合わなかったようだな」 「毎度毎度面倒くせぇな親父の夏風邪は…」 『何なんだろうね、あの無駄なくらいの過保護っぷり』 「熱出してるからこそ周りに気を遣わなきゃって思ってんだろうな。主にアルとか」 『そんなのいいから普通に寝込んでて欲しいよ…』 「おーい、運んできたぞー」 『ありがと…私、今日学校休んでお父さんの看病するよ』 「だったら俺もバイト休むわ。何かあってもアル一人じゃ親父運べないだろ」 『うぅ、私の味方はキッド兄だけだよ…!』 ぎゅっ 「………おう//」 「……………羨ましい御身分だなぁえぇ?おいキッドさんよォ…俺なんかアルから抱き着いてもらったことなんて幼少期に四回しかねぇってのに…!!」 『…ロー兄に抱き着いたら色々撫でまわしてくるから嫌』 「自業自得じゃねぇか…」 「あたしは大学行ってくるわ。ちょっと単位ヤバいし」 『いってらっしゃーい』 「気を付けて行ってくるんだぞボニー…知らない人にもお菓子をくれる人でもご飯を奢ってくれるひとでもついていくんじゃないぞ。それから、」 「「「「『いいから寝て(て/ろ)よ』」」」」 風邪を引いたら大人しく! (お父さんは何故か毎年夏風邪をひきます) ←戻る |