「……この写真って」 「?…あぁ、懐かしいな。アルの初めてのおつかいか」 「何だってこんな嫌そうな顔を…」 「買ってくるように頼んだのが椎茸だったからな」 「そりゃ嫌がるわ」 「アルはローと同じくらい茸類が嫌いだからな」 「…初耳だぞ」 「マジかよ。結構前から言ってたぜ」 「そういや、あん時ホーキンスは家にいなかったっけ」 「何でいなかったんだ?」 「確か…」 「前々から研究していた黒魔術が完成したという報告を受けた時のことか」 「……」 「……」 「そういえば、あの時の黒魔術は失敗だったな…。確か生贄が不十分だったか血液の量が足りてなかったか……」 「あああ!おつかいの時のアルってどんなんだったっけ!?」 「そうだな!確か皆が心配して結局ローが後を着いていったはずだ!」 「……いきなり騒ぎ出してどうしたんだ?」 「(誰も黒魔術の話を詳しく聞きたくないからだよ)」 ≡≡≡≡≡≡ 『きのこきらい…』 「…そうか、今日の晩御飯はハンバーグを作る予定だったんだが『いってきまーす』……気を付けて行ってくるんだぞ」 「……行ったか?俺ももう出るぞ」 「いや待て、今出たばっかりだろうが」 「つーか、アルは結構しっかりしてんだから後着けるまでもねーだろ」 「そんなはずない!アルは可愛くて可愛くて可愛いから誘拐される恐れがある!!」 「可愛いしか言ってねェ…」 「シスコンも大概にしないと嫌われるぞ」 「大丈夫だ。アルは俺の事が好きだからそんなことは一切有り得ない」 「どっからそんな自信が湧いてくるんだか…」 『……』 「(ああああアルがちまちま歩く度にピコピコなる靴の音が可愛くて仕方がないそして音が鳴る度に嬉しそうに頬を緩める様子が更に可愛くてヤバい…!!)」 『しいたけくだしゃい…ください』 「(噛んだ!しかも恥じらいながら言い直すところとかもうマジで天使俺のマイエンジェル可愛い可愛い可愛い俺の妹超可愛いあぁそこのおっさん微笑ましげに俺のアルを見るなアルが穢れるだろうが…!!!!)」 「はいよ、おつかいかい?偉いねぇ」 『ありがとうございます』 「いーえ。気を付けて帰るんだよ」 『ろー兄がいるからだいじょうぶです』 「あぁ、あそこにいるお兄ちゃんかい?」 『はい。おうちからずっとついてきてるんです』 「心配してくれてるんだよ。良かったじゃないか、いいお兄さんで」 『……鬱陶しいだけです』 「(…あれ、何か今だけ流暢に喋らなかった?)」 ≡≡≡≡≡≡ 「というわけでな、アルが迷わずに店に行ったことだけでも感動物なんだがさらにアルが始終俺のあげたベポーチ(ベポのポーチ)を抱きしめながらピコピコ歩く様なんてもう鼻血が出そうになるくらい可愛らしくてな…あぁ帰り道にとある家の犬に興味を引かれて立ち止まった時は嫉妬でその犬を殴りに行きそうになったんだがアルに気付かれるわけにもいかなくて仕方なく諦めたんだ。そして帰ってきた時の満足感に溢れる笑顔がこれまた可愛らしくてな……」 「仕事してください」 『………』 「どうしたの?アル」 『ちょっと昔を思い出してね』 「そんなに椎茸を睨みつけて思い出すことなんてあるの…?」 はじめてのおつかい、の記憶 (ちょっとだけ頼もしかったとか、そんなわけ…ないんだからね) 大分前のアンケでリクエストがあったアルちゃんのはじめてのおつかい…を語るローさん。語りの部分が短くて申し訳ない(´^ω^`) ちなみに最初の会話はドレークさんとキッドとボニーとホーキンスのみ。ローさんは仕事中に突然語り出したのでペンギンさんが物凄く困っております。 ←戻る |