ごめん、綱吉、やっぱりわたしは一緒にいちゃいけなかったね

 ばいばい、きみの薄い口紅のぬられたピンクの唇からこぼれる言葉はまるでスプーンでアイスを掬うように簡単に俺の心をえぐっていくのは至極簡単なことだった。こんな世界に君を連れてきたのは俺だから、嫌になったらいつでもこの場から去ったらいいよだなんて、そう心にもない言葉を言ったのは俺だけれど、俺はそれが自分で強がりだと自覚していたんだよ。あの時、日本を旅立つ時、一緒に行ってくれない?と問いかけた俺に嫌な顔一つせずについてきた君はいつから覚悟を決めてくれていたのだろうか。翌日に立つといってもきみはとっくの昔に準備ができていて、その身一つと小さなカバンを持って僕の左手に手を重ねてついてきてくれたね。俺がいつまでも幸せにしたい、と常日頃言っていたけれど、そんなのは長く続かないと分かっていたんだ。だって俺は、ずっとずっといつか彼女に銃が向けられて撃たれるともしれないということに怯えていたんだから。


 ああ、今じゃあこんな臆病ものな俺のそばに君はいない。
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