今日は日曜日にもかかわらず、部活だ。部活は好きだけどとてつもなくメンドクサイ時がある。それは、夏休み目前のこんな暑い日とかによく思う。
ベルの音がジリリリリと怪しい音を鳴らす古い自転車に乗って中学までの道のりを辿っていけば、そこには大きな川があって、その川を通るとわたしの行く中学がすぐに見える。だから、わたしは学校に行くときにその川を眺めながらゆっくりとこいで行くのがもはや習慣となっていた。

「どうかしたの?」

そんな習慣がついたある日、川の近くで男の子が川岸の草原に小さな体をちぢこませてがさごそと自分よりも背丈のある雑草をかき分けて歩いていた。何となく気になってしまって傍によると、その視線はずっと下を向いていて、どうかしたの?なんて聞かなくてもなにかを探していることなんてすぐに分かるけどあえて聞いた。

「……」
「なにか探してるの?」

そう聞くと、なんでわかったの?と言わんばかりに草に向けられていた視線はこっちに向けられその瞳はまんまると丸められていた。まるで、メガネザルみたいにおおきいなあ、なんて変な例えに例えながらその男の子を眺めた。前髪の張り付いた額につぅっと首筋を伝う汗、ほかほかと湯気をあげてしまいそうな真っ赤な頬がどれだけここにいたかを表しているように思えた。

「…キーホルダーを、探してる…、」

そういうと、きゅうっと自分のズボンを握りしめて俯き、「ぬぅ」と呻いた。なんだかその声が泣きそうに聞こえて少し慌てる。これはわたしが怖いのかなあ?そう思うと少し声をかけたことが申し訳ないなあ、と思う。だってわたしが声をかけたのは自分の好奇心からだし、それにこの子を巻き込んでしまったのだから思うのも当然だろう。

「キーホルダーってどんなの?」

だから、そう、出来るだけ優しく問いかけると、俯いていた顔をあげて上目遣いながらもおずおずと「…サムライレッド…」と呟いた。それって、たしか、日曜の朝七時半に会えるヒーローの名前だった気がする。男の子と言うのは、ヒーローにあこがれるものなのだろうか。たいていの女の子が漫画のヒロインだったり、魔女っ子にあこがれるのと同じように。

「じゃあ、大切なものだね」

確かめるように聞くとこくりとまん丸で子供特有の大きな頭が頷いた。

「一緒に探そっか」

そうして男の子の了承を得ずに勝手に草むらに飛び込むと、さっきの男の子と同じように草の根をかき分けてサムライレッドを探した。
その時、男の子が先ほどの丸い目をこっちに向けていたなんてちっとも知らなかった。



それにしても、サムライレッドってどんなんだったっけ…?


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