Dグレの世界に行ってみる4

紅茶を入れていると黒い髪をツインテールにした女の子がやってきた。

「あ、リナリー」
「レイ」
「どうしたの?」
「うん、みんな疲れてるみたいだからコーヒーを差し入れようかと思って」
「なるへそ」
「レイは大丈夫なの?」
「ん、みんなこまめに休憩をくれちゃうからね」
「まあ、女の子だしね」
「その割に、扱いは酷いけどね」

ふっと遠い目をするレイ。
リナリーからしてみれば、みんなレイのことがかわいいからいじっているように見える。そんなことを言っても、かなり嫌そうな顔をするから言わないけど。
まさにかわいい子ほどなんとやら、である。

「レイは相変わらずコーヒー飲めないの?」

入れ終わっているレイのマグカップをひょいっと覗く。
レイの入れてるマグカップでゆらゆらと揺れているのは褐色ではなく琥珀色の液体。

「においは好きなんだよ?でも、味がだめなんだよね」
「また、変なこだわりを…」
「紅茶が存在すれば十分です」

そういって、紅茶をリナリーの用意したお盆に乗っけて持ち上げる。

「あ、あたしが運ぶからいいよ」
「それならなおさら。二人でやったほうが早いんだし」

出て行こうとするのを止めてひらりと振り返って言い放つレイ。
なんて頼もしく見えるんだろう。

「ふふふ、ありがと」
「いえいえ」

頼もしい親友の背中を追って、リナリーはお盆を持った。

(そっちも持とうか?)
(あたしの仕事がなくなっちゃうでしょ!)
(そう?)




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