Dグレの世界に行ってみる12

イエーガー元帥の殉職から数日後、連絡のあったすぐ後に、レイはコムイとともにアレン達のいる街へ列車で向かっていた。ゆらゆら揺れながらも手にもつ書類を目で追っていた。

「いや〜!悪いね、レイちゃん、来てもらって!」
「気にしてないですよ。いつものことなんで」

表情を変えずにしれっと言うレイは、持ってきた書類に目を通しながらコムイの話を聞く。

「なんだか言葉に棘を感じるよ…」
「気のせいですよ。それに、わたしもアレンとリナリーの様子も気になりますし」

レイの言葉にコムイはすぐにおちゃらけた顔を引っ込め、真剣な表情でもうすぐ着くであろう街の光を見つめた。
気にしないようにしようとして読んでいる書類もレイの頭に入っていないのはコムイだって見抜いていた。でも、何かせずにはいられないのだろう。
レイは、思わずついてしまった深いため息に幸せが逃げていきそうに感じる。大切なものはいつだって、この手を滑り落ちていく。まるで砂時計の砂のように。

「な〜に辛気臭い顔をしてるんさ。あいつらのことなら、うちのジジイが見てるから心配すんな! な?」
「…ラ」
「、っぶ!」
「この、馬鹿者め!」

ラビ、とレイが名前を呼ぶ手前。突然現れたラビがぽんっと早苗の肩を叩いた瞬間、問答無用でブックマンに頭を叩かれる。
うわあ、痛そう…。
頭の上の大きなたんこぶから煙がでるようにしてラビが列車の床に俯せで寝ているのを気の毒そうに見た。

「っ何すんだよ! このパンダジジイ」
「ふん、急におらんくなったと思えば、またレイ嬢に迷惑をかけよって」
「当たり前さ! こんなパンダジジイといるよりレイといた方が何倍もましさ!レイもそう思うだろ?!」
「あたしは別にどっちでも…」

邪魔さえしなきゃどうでもいい、という言葉は飲みこんで、ラビを見ると「ほら!レイはいいって言ってるさ!」と言ってブックマンに反撃しているところで、コムイが「そろそろ着くよ」といって声をかけて二人の間を取り持った。二人は無事だろうか、レイは不安が胸をよぎった。





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