Dグレの世界に行ってみる9

後頭部にひんやりとしたものが当てられたのに気がついて、目が覚めた。
うつ伏せだから、息がしづらくて、ぷはっと顔を横に向けると呼吸しやすくなってそのままうつらうつらしていると、目の前に影が差した。

「レイ、まだ寝てる?」
「起きてるよ〜」

目を開けて、ひらひらと手を振れば、リナリーが顔を覗き込んでほっとした顔をした。
そしてレイも、リナリーを上から下まで見てほっと息をついた。
どうやら、マッチョは免れたようだ。
いくら親友とはいえ、急にマッチョになられると心臓に悪くてちょっと近寄りがたくなってしまう。君が変わっても愛し続けるよ、なんて人がいるが、そんなのはすぐには無理だろうと思う。慣れるまでに時間はいるのだ。
そんなくだらないことを考えつつ、よっと体を起こす。べしゃりと音を立てて頭に当てられてた氷が落ちたので、それを拾って、ポケットから目薬を取り出す。
寝ていたから目の中がごろごろするのだ。

「今、どうなってるの?」
「みんなで、修理中。あ、アレン君はまだ寝てるけど」
「え!アレン、どうかしたの?!」
「兄さんに麻酔針を打たれたのよ」
「ああ…」

そう言ってあきれ顔をするリナリー。
兄に対して、呆れているのだろう。
それにしても、アレンも着て早々巻き込まれて可哀想だな、と思った。

「じゃあ、あたしも修理手伝おうかな―」
「だめよ、まだ寝てなくちゃ!」

そういってリナリーにソファーに引き戻されそうになるが、その手をやんわりとどけるとそのまま立った。
少し、頭がずきずきするが大丈夫だろう。
こぶができた頭をやんわりと撫でた。
むしろ、久しぶりに寝れて頭はすっきりしていた。

「アレンの看病はリナリーに任せるから、ね?」
「もう!」

そういって、リナリーは頬を膨らませて不満顔をするも、諦めたのかアレンのところに戻った。

(なにかすることあるー?)
(お、レイ起きたのか)
(お前も災難だったな)
(まあねー)




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