名前→有栖川姫子 《性格》 苗字嫌い、普段は普通の子。思ってることが顔に出やすい。 苗字をいじられると態度が変わる。グーパン。 月子がかわいくてかわいくて…以下略。 こんな女の子の話。 ちなみに有栖川さんって人に対しての悪意はなくて、ただ変わった名字が思いつかなかっただけなのであしからず。わたしは有栖川って苗字好きだけどな!(どーん)
こんにちは、唐突ですが私の苗字は有栖川というのだけれど、なんでこの苗字をお知らせしたかというとわたしはこの苗字が嫌いだからだというのが大きな要因である、まる。 フルネームでいうと有栖川姫子。名前は一般で使われていても、書き順は多い、嫌なことに一発で覚えられる、マンガみたいな苗字だね、なんてのは軽いもんで、そのほかにもこの苗字のせいでさんざん苦労されてきた人生十六年と少し。とにもかくにも早くこの苗字から逃れたい、切実に。エスオーエス。
「そういえば有栖川の苗字って珍しいよな」 「あー、まあ、たしかに。っていうか、変な名字だよな」
「……」
お前の格好のほうが変だよ、このヤロウ!腰パンは足の長い奴だけが許されるんだよ!…ホントどこの学科だ。 ちっと舌打ちをするととなりの白鳥の肩がびくりと震えて犬飼にしがみついた。…なに怯えてんの? それにしても、この学校に入ってかわいいかわいい月子ちゃんと女の子が二人だけだからか、有名になってしまった私は「あいつの苗字変じゃね? っぷぷ」なんて無神経なことを言ってくる奴がいるから、はっきりいって殴りたくなる回数が増えた。(女の子二人という点では月子ちゃんと仲良くなれたけどね、役得!)そりゃあ、星のことについて学べるし、毎日満天の星空を見られるからこの学校は大好きだけれど、それとこれとは別である。 ていうか、聞こえる範囲にいるんだから、直接言ってくれたほうがまだましなのにさ。こう、聞こえそうにない範囲でこそこそといわれるのがさらに腹が立つよね。まあ、目の前で言ったとしてもグーパンだけどね!
「有栖川の目怖ぇえ……」 「たしかに、人が射殺せそうだな〜」 「あ、弓道部なだけにな!」 「全然うまくねーぞ」 「…なんかいった?」 「いやいや、おれは何も! なあ、犬飼?」 「はあ、なに言ってんだよ白鳥ぃ? 有栖川の目が怖えって言ってただろ?」 「犬飼ぃいい! お前殺されたいのか!」 「失礼な、殺したりしないわよ。殴るだけで」 「ひぃ!」
顔を真っ青にした白鳥の足を机の下でむぎゅと踏むと悶絶したので足を離した。ふふん、いい気味である。 それにしても、ふるふると首を振った白鳥に対して、金色の目をにやにやと三日月にしながら聞いてきた犬飼ははっきりいって私が怒ってる理由が分かっているのに、なんていうか、前から思っていたけれど犬飼は意地の悪い奴。ぐいぐいと白鳥に首を引っ張られて迷惑そうに頭を殴っていたけれど、もっと白鳥は殴られればいいし、犬飼は首がしめられればいい。
「で、白鳥は置いといて、なんで怒ってんだ?」 「ふん、べっつにぃ〜。苗字の悪口言われただけだし」
聞こえるように言うと、気まずそうに先ほどの二人組が食堂から出て行った。そんなんなら初めから言わなければいいのに。
「あ〜、お前自分の苗字のこといわれるの嫌いだもんな」 「そうだよ。…ってか、犬飼は知ってんじゃん」 「あはは、だってお前、初めて会ったときに変わった苗字だなって言っただけでグーパンだったからな。あれは忘れられねーだろ」 「おっかねぇえ…! いじっただけでグーパン…、って、あれ、有栖川って苗字嫌いなのか?」 「っていうか、いまさら? だって、目立つし、一発で嫌な奴にも名前覚えられるし、字画多いし! ていうか他にももろもろ理由があるけどとにかくいや!」 「おれは好きだけどな〜、なんかアニメのキャラみたいで」 「あ〜、萌え萌え的な?」 「そうそう! 萌え萌え! わっかってんじゃん、犬飼〜」
萌え萌えとか訳がわからん、このふたり…。はっきりいって殴りたい衝動に駆られたけれど私の拳がかわいそうなのでやめることにした。そうしてそうこうしているうちに話が広がって、そういえば、萌え萌えといえばよお、なんていって犬飼がこの間のゲームがうんたらかんたらと話し始めたので、ゲームの話にはついていけないわたしはデザートを食べに食券を買いに行くために席を立った。お腹がすいて力が出ない。ぐぅ。 後ろのほうでぎゃはははと嬉しそうに肩を並べて笑う二人は、まったくもって能天気な頭をしているに違いないので、能天気な彼らのすぐ後ろにうちの鬼副部長が立っているのも親切なことに知らせないでおこう。そしてこってりしぼられてしまえ。
stsk(小話) 2012/01/02 (Mon) 15:07
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