03

「ルビィの牛乳嫌い?」
「ああ」
ルビィちゃんと生まれた時からの付き合いであるルフィに問えば、あいつ牛乳嫌いなのか?と返ってきてしまった
お前ら双子だろう
「コーヒー牛乳とかじゃ駄目なのか?」
隣で話を聞きながら、何やら変なカラクリを弄っていたウソップも話にまざる
「いや、出してみたんだ…コーヒーに砂糖とミルクを入れようとしたら…」

『あ、ブラックのままでいいよ』

「って」
「あーー…そう言えばルビィの奴、甘いもんが好きなくせにコーヒーだけはブラックなんだよな…紅茶もストレートしか飲まねェし」
思い出した様にルフィが話し出す
「昔からなのか?」
「ああ、ずっとだ」
「なんで?」
「知らねェ」
誰に聞いても、どれだけ考えても打開策は浮かばず、頭を抱える
机に突っ伏しながら、自棄になった俺は力なくその場にいる野郎どもに向こう1ヶ月の献立を告げる
「明日から毎日シチューな……」
「ま、毎日…」
「おれは美味けりゃ何でもいいけどな」





『私、サンジに嫌われたらしい……』
「は?」
夜、今日の見張り当番である俺は見張り台の上で、昼間クソコックが居ない間にこっそりと持ち出した酒瓶片手に月見酒と洒落込んでいた
そこへやって来たのがこいつだ
気配もなく無言で俺の真横に陣取ったこいつは、やはり無言で俺の手から酒瓶を掻っ攫うと俺が止める間なく一気に煽った
普段は吐きそうなほど甘口の酒しか飲まない癖に、辛口を、しかも息継ぎ無しで飲み切りやがった
あっという間に空になってしまった瓶に額をくっ付け、項垂れるルビィを横目に、床に転がしてあった新しい酒瓶に口をつけようと開けると、こいつはクソコックに嫌われたと言い出した
非常にどうでもいい
あまりにもどうでも良くて、間抜けな返事を返した後は無言を貫いた
面倒だからだ
それを感じ取ったのか、またも無言で俺の手から酒瓶を掻っ攫う
先ほどと同じ様に酒を煽るが、残念、そいつはさっきのより遥かに度数が高い
一口目を嚥下した後、勢い良く口に流されていた液体が一瞬にして夜空に向かって噴霧される
手にしていた酒瓶からは琥珀色の酒が月の光を反射しながらぶち撒けられていく
「てめ、勿体ねェ事すんな!!」
『ゲホッ……ゥ、ゴホッゴホッ!!ォエ、ヴゥ…』
噎せるルビィの手から酒瓶を取り返し、仕方なく背を摩ってやる

「もう平気か?」
『…だ、ダイジョウブデス、アリガトウゴザイマシタ』
落ち着いたらしいルビィから離れ、見張り台に凭れながら減ってしまった酒瓶を傾ける
「で?」
『ん?』
「クソコックに嫌われただとか言ってたろ」
『ああ、うん、それね…嫌われたらしいよ』
「らしいって何だよ」
ルビィはフラフラと危なっかしい足取りで俺から反対側へ行くと、見張り台に背を預けながらズルズルとしゃがみこむ
暗い雰囲気を漂わせながら、膝を抱えて足元に転がる空き瓶を爪先でつつく
『すげー嫌がらせされてる』
「女のお前にアイツが嫌がらせって…一体何したらンな事になんだよ」
『分からない…』
俺の一言で余計にダメージを負ったのか、空気がより重くなっていく
面倒くさい
うだうだと何事か考えているルビィを放っていると、自棄を起こしたのか酒瓶を手に取る
一番高い酒、しかも未開封
「おい待」
俺が一番楽しみにしていた酒がどんどん減っていく
口の端から溢れた赤紫の液体が喉を伝っていくのを呆然と見る
我に返って止めた時にはもう、酒瓶は空だった


−−−✂キリトリ✂−−−
お酒は20歳になってから!
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