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"ルビィちゃんに牛乳を飲んでもらおう計画"は未だ続行中だ
牛乳を飲んでもらうと言うより、無意識のうちに摂取してもらっている状況だ
シチューにコーンポタージュ、ジャガイモの冷製スープ、ホワイトソースのグラタン、リゾット、ラザニア、エトセトラエトセトラ……
色々工夫はしてはみるものの、デザートで摂れる牛乳の量なんて知れている
何とか量を摂ってもらおうと思うと、どうしてもシチューやポタージュに頼ってしまう
味を変え、食材を変えても、こう何日も似た様な献立が続けばクルーから不満の声が上がるのも時間の問題だ
「結構手強いなァ〜〜」
夜の仕込みをしようと、食材達を目の前にしながら思わずぼやく
そう、手強いのだ、思っていたよりもずっと

最初はドリンクにして出してみた
これで問題なく飲んでもらえれば解決だし、駄目なら牛乳感を薄くして様子見をしていくつもりだった


「ルビィちゅああ〜〜ん♡見張りお疲れ様あ〜〜♡温かい飲み物持ってきたよ〜ん♡」
『あ、サンジありがとう…夜遅いのにごめん』
「いいのいいの!はい、熱いから気をつけて」
『ありがと……あったまるね〜いただきます』
「……」
『……』
「……」
『………ゥ、ンゥ…』
「ルビィちゃん!?」
『ご、ごべん………ザンジ…これ"…ぎ、ぎゅう"にゅう"ゥ』


そう、駄目だった
出したのはホットミルクチョコレート
砂糖で甘くしたホットミルクに、更にチョコレートの欠片を3つ浮かべたもの
好きなチョコレートが溶け始めていたからか、疑う事なく口に含んだ彼女は、一瞬間を置いた後……吐いた
厳密には何とか飲み込んだものの、飲みきれなかったものを口の端から零した、と言った方が正しい
可愛いレディから謝られるなんて罪深いが、これはこれで嬉しいので役得ではある
やってる事が事なので罪悪感はあるが…

お次は先日訪れた島で購入したミル○ーなる飴
何でも、甘くて美味しいママの味らしい


『あれ?サンジ、何か食べてる?』
「ん?ああルビィちゃん、これはミ○キーって言う飴だよ」
『へ〜〜サンジが飴を食べてるなんてレアだねェ』
「ルビィちゃんもいかが?」
『じゃあ1個貰おっかな』
「はい、どうぞ」
『ん、どーも……ふーーん甘いね〜〜あま…………


……ンブゥッ!!!』
「ルビィちゃん!!!?」


駄目だった
出だしは好調だったが、数秒後には吐き出されてしまった○ルキーは、吐き出す威力が相当強かったのか、今もメリー号の甲板にめり込んでいる
もう2度と食べない、とまで言われてしまった

めげずに今度はミルクアイス
レモンソースを添えることで爽やかさアップ
これなら牛乳の味も気にならないのでは?という考えだ


「本日のデザートです、マドモアゼル♡」
「わあ!美味しそうね!ありがと、サンジ君」
「んんんナミっすわあァァん♡君のためならどんなドルチェだって作ってみせるよ〜〜♡」
『いただきまーす』
「んーーー!美味しい!」
『……』
「?あれ、ちょっとルビィ、どうしたの?」
『……ゥ…』
「ルビィ…さん?」
『……』


やっぱり駄目だった
この頃になると、ルビィちゃんに警戒される様になった
当たり前だろう
苦手なものを知っている筈の信頼するコックから、毎日の様に悪い意味での飯テロを食っているわけだ
このままでは俺が嫌われてしまう
どうしたものか…
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