あとち。 | ナノ

神様の嘘つき。









*シリアス
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放課後。
夕日が差し込む生徒会室には、私と、小田桐君だけが居た。
生徒会の会議は既に終わっているけれど。


「…なまえ、それを取ってくれないか」

「あ、うん」


名前なんて呼ばなくても、二人きりなのに。
最初に頼んだ時は、不健全云々と様々な理由を取って付けて恥ずかしいからって突っ跳ねたのに。
割と意地悪で、極端な人なんだ、この人は。
外見からはおおよそ想像も付かない位優しくて格好良くて。…勿論外見だって大好きだけど。


「ねえ、秀利くん」

「…何だ」


私の話は、作業を止めて聞いてくれる。
有り難いけど…ちょっと今は、顔を見て欲しくない。
じっと、何もかもを見透かしてしまいそうな目が、真っ直ぐ私を見据える。
ああ、なんで皆この人の魅力に気付かないんだろう。
不思議で堪らないけど、本人に言わせれば「君が物好き」なんだそうで。
…私の目は、確かだよ。


「いいよ、作業しながらで。…あのね、秀利くんは…私が居なくなるのを想像した事、ある?」

「…突然、何だ。何か見たのか?」

「ううん、違うよ。…私はさ、ずっと一緒に居たいんだ…秀利くんと」

「…今日の君はおかしいな」

「そんな事無いったら。私だって、人間だものいつも同じじゃないよ…じゃなくて。…秀利くんは、私と一緒に居たいと思ってくれてるのかな、って」

「当然だろう、…そうじゃない人間に構っている程僕も暇じゃない」


ああ、彼らしい。
私の変な質問にも真面目に答えてくれて、冗談を感じさせない声でそう言ってくれる。
…優しい人だ、彼は。
……酷い人だ、彼は。


「そっか、よかった」

「…敢えて詮索はしないでおくが…何かあったら言うといい」

「うん、ありがとう」


ごめんね、秀利くん。
もう、一緒に居られない事位分かってる。
タイムリミットは、1ヶ月。
ずっと、か。

出来ればね、結婚とかも一緒に考えたかったな。
その前に沢山デートして、誕生日も一緒に祝って、たわいも無い話して、笑って。
喧嘩だって、したかったな。もっと、沢山。好きだって、強く思えるような、そんな。
一緒に隣を、歩いていたかったよ。

すきだってもっと、言わせて。
声が枯れるくらい。




誰でも求めるものには与えられる、なんて。
(うそだよ、そんなの。)
(だって私は、求めたじゃないか)










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