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キッド











「眠い!」

「なら寝りゃ良いだろうが」

「だって寝たらキッドとの大事な時間が…」

うつらうつらと船を漕ぎつつ既に一時間が経過した。どうしてこんなに一生懸命起きて居るかと聞かれれば、今日はキッドが勉強会兼お泊まりに来て居るからである。勉強は一段落して、もう今日はおしまい。そんな感じになったところで寝ようと思ったけど、キッドはまだ眠くないからなんて一向に寝ようとしない。ううう、何でよう…!一方私はと言えば前述した通り眠くて眠くて堪らない。早く寝たい。余裕そうなキッドの顔が今だけは憎たらしいよ。いつもは格好良いと思えるのにね!

「寝不足になるぞ?」

「それはキッドもじゃん…」

あ、もう駄目だ上手く喋れない。もごもごする。舌列とかじゃなくてね。ぼんやりとキッドを見れば呆れた風な表情で私を見て居た。うわ、格好良い。特に髪下ろしてるのが良い。さっきまで眼鏡掛けてたんだけどそれももう失神ものだった。にやにやしてたら勉強教えねえぞなんて脅されたから渋々見るのを止めた。勿体無い!携帯で写真の一枚や二枚や三枚四枚撮ってやれば良かった!そうしたら待ち受けにするのに。今更ながら後悔。そんな事を考えながらホットミルクの注がれたカップに手を出せば、寸前で力が抜けてとうとうカップに手が届くことは無かった。必死でこじ開けて居た瞼もその努力も虚しく完全に光を遮断してしまった。床に倒れた後のことは良く覚えて居ない。ただ眠れた安心感と不安感が一杯だった。



「おはよ、キ…どうしたの?寝不足?」

「何でもねーよ。ほら、ココア」

「あ、ありがと」


  (おれの身にもなれ!)





ユスタスがすごくすきです。






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