haco | ナノ



青春謳歌









*いただきもの

Go→















(あー…意味分からん……)




暇な世界史の時間。
俺はその時間の殆どを睡眠の為に使っているが、今日は珍しく起きている。だけ。授業なんか右耳から左耳へ抜けていく。
つまり、冒頭の意味分からん、はべつに授業への感想を述べた訳ではなく。


俺の目の前で行われている光景に対しての、珍しく素直な俺の気持ちへの疑問である。


目の前の光景。
クソバカなユースタス屋が夏の暑さで頭が沸いたらしく教科書を家に忘れて隣の女子(わりぃけど名前すら知らない。つかこんなヤツいたっけ)と仲良〜くぺったんと机をひっ付けて同じ教科書を見ている。
それだけ。


っつーか、身体近っ!!なに、お前らカップルにでもなったのか?くっそー糞ユースタス屋にしちゃあやるじゃねぇか……って、違う違う。あの女羨ましいっつーか妬ましい…だなんて何考えてんの俺は片思いしてる乙女か何かかオイ…


「…おい、虎」


つーか何でこんなモヤモヤするんだよ、あー全部タラシでど阿呆なユースタス屋とこの暑さのせいだ。くそ。


「虎!……お前の事だよトラファルガー!!」


気付け!、と世界史のセンセーのもりっぺ(25)からチョークを持ちつつビシッと俺を指差す。


「は、俺!?つーか虎扱いっすか……」


すると教室にどっ、と笑いが溢れた。ナイスあだ名だよもりっぺーなんて声も聞こえる。虎っつーあだ名のどこがナイスなんだよどこが。
ユースタス屋を見るとやはり隣の女子と笑ってる。あああぁ訳分かんねーけどなんかムカつくイラつく。
内心悶々としていると、再びもりっぺ(つーか、名前が森哲平だからってこのあだ名どうかと思うけど)が口を開く。


「時にトラファルガー、」


「…ハイ」


「まだ新米教師な俺がいっっしょけんめー授業してんのにさぁ、乙女顔でユースタス見てんの止めてー」


「なななっ、ちょ、見てねぇからっ!!」


意味わかんねぇ!ともりっぺに食ってかかると、再び教室が笑いに溢れた。あぁもうなんなんだ、ユースタス屋見て乙女顔?信じられん。んなのありえねーって…!

するとタイミング良く四時限目の終了を知らせるチャイムが鳴り響き、もりっぺが日直さんお願いねー!と日直に号令を促す。


「きりーつ、」


「あ、ちょっと待って」


号令を促していた当本人がまったをかけた。何人かが早く購買に行きたくてブーブーと文句を言う。


「ゴメン直ぐ終わるから、んじゃぁ皆ーもう学期末だし、挨拶し終わったら教卓にノート提出ねー。…で、」


もりっぺが此方に視線を向ける。……嫌な予感がひしひしとする。というか、嫌な予感しかしない。


「乙女顔トラファルガー、罰として職員室までノート運び」


お願いね〜。じゃ、号令!とにっこり笑うもりっぺを、無性にぶん殴りたくなった。



───────────
─────



「しっつれーしまーす」


両手がノートで塞がっているので足で職員室の扉をガラリと開ける。


「んぁ、やっときたかオトメン〜」


もりっぺの机は窓の近くにあって、何か色々な書類が山のように積んであった。そして山のように積んであるのは書類だけでなく、煙草の吸殻も山のようにこんもりと机の上にあった。


「……吸いすぎだろ…」


明らかにノートを置く場所がないので仕方なくもりっぺの椅子にどさり、と置く。当の本人は窓に寄りかかって懲りずに煙草を吸っていた。…いつか肺癌で死ぬぞこれ。つーか、職員室は禁煙じゃねぇのかよ……


「…で、結局どうなんだよぉ」


「は?」


煙草片手にニヤリと此方をみるもりっぺ。あぁ、すっげぇムカつく。


「どうもなにも…別に何も無いっす」


「ふぅん?…俺にはそう見えなかったなぁ」


だってお前、彼に教科書貸してた女のコの方を殺しちゃいそうな目で見てたんだもん。教卓からは丸見えだから、笑いを堪えんの大変だったんだよー、と言ってもりっぺはくすくすと笑う。その言葉にカッと顔が熱くなってしまって思わず眉根を寄せると、あれまぁ顔真っ赤ー、と楽しそうな声が横から聞こえた。


「っ、別に俺は……!!」


ユースタス屋が好きな訳じゃ、と言葉を続けようとしたけれど口を開きかけて止める。


(……そんな事、ねぇっつの…!)


本当は。
俺はあいつの事が好き、なのかも知れない。それと同時に、だからあんなに苛立たしい気持ちが芽生えたのか、って心のどこかで納得した。


「なーんか、やっと気づいたって感じですかぁ?」


にっぶいねぇ、と相変わらずのにやけ顔でもりっぺが口を出してくるので舌打ちしてやる。すると、ちょ!先生に向かって舌打ち!?と一通り文句を言ってから吸殻山盛りの灰皿に新たな吸殻を突っ込んで、言った。


「ま…青春は一度きりだよ、青年」


大切に悔いなく過ごせよー…って笑って、それからあー畜生若いって羨ましいわーとぼやくもりっぺに、あんただってまだ25だろと言い残して職員室を後にした。

…あぁ、もうおせっかいもりっぺのために昼休みを半分使っちまった。教室に帰ればユースタス屋が何時もみたく、しかめっ面で飯を食いながら俺を待っててくれてるのだろうか。


───そう考えると、少し心が踊った。





青春謳歌
(さぁ、恋をしようじゃないか!)







モノクロム。の霧さまにほぼ強引に書いて頂いたキドロ←
何この可愛いこ…!読んだ傍から悶えしんだのは秘密です^p^
本当有難うございます!これからもstkさせてくださいね!はは!

あ、あと最後の題名の色が分からなかったので取り敢えず似たようなのを…違っていたら済みません。






prev | next





「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -