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足立









*元リハビリ文

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僕の彼女は女子高生。年下と付き合うなんて絶対無いんだろうなあって年下が嫌いな僕は考えていた訳だけど世の中って不思議だ。気付いたら女子高生とお付き合いだってさ笑っちゃうよ本当に。彼女は可愛い。大人っぽい訳でもないし多分年相応だと思う、今時の子がどんなのかイマイチ分からないから多分年相応。多分。可愛いなんてただの惚気でしょとか彼女の同級生、で転校生に言われたけど気にしない。今更気付いたんだねって馬鹿にしてあげる。彼は不機嫌そうに顔を歪めたけど直ぐに言う。
「アイツもう直ぐ部活終わりますよ」
ぶっきらぼうに言うと肩からずれた鞄を持ち直して背を向けて歩いて行く。最近の子供は挨拶も出来ないのか。ましてや堂島さんの家の、甥が挨拶をしないなんてこれは堂島さんも随分甘いんだなぁ。ぼんやり後姿を見送って居たら、それに反して此方に走って来る姿を見つけた。綾香ちゃんだ。ぱたぱたと誰も彼も短くしていそうなのにそうじゃない普通の長さのスカートを靡かせて、ローファーのこつこつ言う音を立てて走って来る。僕の目の前で立ち止まると切れた息を整えようと暫く呼吸。それからこんにちは、と笑みを向けて鞄を漁り出した。この子はちゃんと挨拶をする、まあそれが当たり前なんだから何ら特別な事は無いんだよね。綾香ちゃんは可愛いラッピングされた袋を取り出して、はいどうぞ、と僕に差し出した。
「なに、これ?」
「部活で作ったんです。クッキー…甘さ控えめで。口に合うか分かりませんけど」
「へえ、家庭科部なんだね。ありがとう」
星型とか市松模様のクッキーとかが沢山入っていて、部活でとは言えわざわざ僕の為に作ってくれたのだと思うと自然と頬が緩んだ。ひとつ、いいかと聞けばどうぞ、と嬉しそうに笑う。ひとつ、星型をかじれば程良い甘さが口に広がって、なるほど美味しい。下手な店で買うよりは、ずっと。少なくともこの田舎で買える菓子なんてものは高が知れてる訳だから、これは贔屓かも知れないけど彼女のクッキーは稲羽では一番美味しいと思う。さくさくと固くも無く軟らかくも無い丁度良いくらいの感触で砕けるクッキーを全部咀嚼して、飲み込んだ。どうですか、と若干不安気に尋ねて来る彼女に、美味しいよと言うと心底嬉しそうにまた笑った。この笑顔の為ならきっと嘘でも美味しいと言えると思う。僕のひとつひとつの発言に一喜一憂してくれる彼女は、何て愛おしいんだろうか。







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