*元リハビリ文
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「足立さん」 こうやって呼ぶと足立さんは私を振り向かない強情な人なんだ、どうしてって訊いたら自分で考えなよなんて人任せ。不満に頬を膨らませて見せると直ぐ様両手で押された。取り敢えず色んな呼び方をしてみる訳だけどね、なかなかうまくいかない。 「アダッチー」「足立」「キャベツ」「キャベジン」、「透さん」 あ、振り向いた。と思ったら一気に顔が近づいてきて、何事かと首を傾げる。近いよ足立さん、心の中は相変わらず"足立さん"。だけどもう分かったよ、要は名前で呼ばれたいんだって、ねえ、素直に言えばいいのに。(それにしてもキャベジンは無いわ) 「キャベジンとかあだ名の域じゃないと思うんだけど」 あれ、同じこと考えてた。やっぱり足立さん的にもアウトらしい。キャベジンとかあれ、医薬品かなんかだっけ。うーんと眉を寄せて考えてたら、足立さんが酷い顔だよとかって、あんたの方が酷いよ。仮にも彼女の私に向って酷い顔とは何事だね。またむっとしてみせれば悪戯めいた笑みで笑った足立さんは、私の唇に自分の唇を押し付けた。 格好いいなあ、やっぱり。
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