※前サイト400hitリク *ほのぼの
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「おはよう」
「おー、はよ」
朝っぱらからぼんやり、何をしているのかと思えば化粧道具の整理。 私がこの部屋に居るのはもう日常的な事で、突然入って来たとしても驚く事は無い。勿論、着替えてる時なんかは全力で追い出されるけれど。ふふ、なんて笑いが溢れる。
「何笑ってんだ、おまえ」
「ん?いやいや、何でも無い」
だって追い出そうとするラムダさんの必死な表情ったら、笑わずにはいられない。 いつも飄々としている分、ああ言う見慣れない姿は誰が見ても普通じゃ無いと思う。 こんな事を言ったら、きっと怒られるだろう。だから、適当に誤魔化す。
「…今日、雨ですね」
「ん?…あぁ、そうだな……思い出すか?」
「…思い出さない、とかはっきり言えません。だけど…ラムダさんのお陰で、前みたいな事は全然です」
そう言って、笑って見せる。 ラムダさんはそうか、と言って化粧道具のポーチ(うん、なんか大人っぽい)を閉めた。棚に、置かれる。
前みたいな事、と言うのは説明しようとすればきっと長くなる。 簡単に言ってしまえば、とても辛い事があったのだ。 それが偶々雨の日の出来事で、だから雨が降る度に私はそれを思い出していた。 けれど、いつだったか、そんな遠くない前にラムダさんが慰めてくれた。 何か特別な事をした訳じゃない。 ただ話を聞いて、頑張ったな、もう一人で悩むな、って言ってくれた。 そのお陰で、今の私があると言っても過言じゃないと思う。
「ラムダさん、外、出ませんか」
「風邪引くだろ、却下」
えー。 反論をする前にベッドへと座らせられる。 煙草の匂いが鼻についた。
「トランプでもするか」
有無を言わさず、小さな棚からトランプを取り出す。 そこでラムダさんの行動の意味が分かって、私は素直に応じた。 イカサマが得意な癖にポーカーをすると勝手に決めて。 当然私が勝てる訳が無く。
「はい負け、オレに勝てたら外行き考えたけどやっぱり無しだな。今日は部屋ン中で大人しくしとけ」
よしよし、とあやされるように大きな手が私の頭を撫で髪の毛が乱される。 何と無く、お父さんが子供を撫でるような、そんな風に思えた。
「おとうさん、みたい」
「こんなデカい子供居る訳ないだろうが」
「そうなんですけど…」
暖かくて、優しくて。 愛情を感じたから。 そこまで言えばまた怒られてしまう気がしたから、口を噤んだ。
外は雨が降っている。 私は部屋に居て、ラムダさんと居る。 ただそれだけなのに、あの事を悲しいとは思わなかった。 暖かくて、心地良くて、幸せだと思った。
(ありがとう、あなたのお陰で雨も好きになれそうです)
三雲様400hitリクエスト、ラムダでほのぼの、でした。ほのぼのになってたんでしょうか…何だか味気ない気がして不安であります。 リクエスト有難う御座いました!
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