「うっわぁ〜!おっきいし、広い!品揃えあり過ぎ!わわわこれ可愛いー!!」


俺たちは、なまえの着物を買いに江戸で一番の品揃えの大江戸デパートにきている。
それにしても‥


「ほんとアル!地下一階の食品売り場には全国のたまごかけご飯が揃ってるらしいネ!これは行くしかないヨ!」

「いや、たかがたまごかけご飯にそんな全国もの種類ないでしょ!」


お前ら何しにきたの?


「いやいや、絶対あるネ!ここからは何か気配がするアル‥全国のたまごかけご飯の気配が。」

「たまごかけご飯から気配する訳ないだろ!!」


いやいや、別にたまごかけご飯味わいに来た訳じゃないからね、俺たち。たまごかけご飯は美味いけどね!!


「たまごかけご飯の良さはダメガネには百万年たっても理解できないネ。」

「いや、別にわからなくていいし!しかもダメガネって呼ぶな!!!」

「オイ、お前らいい加減にしろよ〜。なまえの着物買いに来たのに何でお前らまでついて来てんの?銀さんなまえと2人で行くつもりだったけど?」


もうたまごかけご飯の話終われェェェ!!!
もう、ほんとたまごかけご飯いいから!

銀さんなまえと2人で来るつもりだったのによ〜!


「当たり前ネ!なまえの着物を選ぶのに銀ちゃんだけだなんて、どうせ女心もわからない着物を進めるに決まってるネ!」

「そうですよ!銀さんが付き添いじゃあ、どうせ気のきかない着物ばっか進めそうですし。僕たちが居た方が絶対いいですって!」

「はい?銀さんのセンスが悪いと?え、銀さんまだまだ若いよ?ひどくね?」

「ダメガネは居ても居なくても変わらないネ。」

「うるせェェェ!!!僕にも選ばせてくれたっていいだろ!」

「俺は無視かあぁああ!!!!!」


―――――


みんなのちょっとした騒ぎが一段落着き、今日の目的を果たすべく、私たちは着物を買いに着物売り場にきた。

みんなが騒いでる間に周辺をうろうろしてたら迷子になりかけたのはみんなには恥ずかしいから秘密だ。


「わぁー!どれも可愛いよ!!どれにしよう?」


着物売り場に着くとたくさんの着物が揃っててどれにしようか迷うくらい。

さっそく着物を手に取り、神楽ちゃんに「これどう?似合うー?」って聞いてみたり。


「似合ってるネ!でもなまえ、こっちの赤なんかもどうアルカ?」

「わぁ、チャイナ服だ!神楽ちゃんと一緒〜」

「なまえさん、お通ちゃんと同じ着物なんてどうですか?」

「可愛いっ!でも私似合うかな?」


みんな私のためにたくさんの着物を持ってきてくれてる。嬉しいなぁ‥


「なまえ、これどう?」

「ん?わっ!」


銀ちゃんが持ってきてくれたのは、裾が長い着物。


「いちご牛乳みたい‥!」


そう。銀ちゃんが持ってきてくれた着物はピンク生地に白の模様、帯が赤茶たまに金が入ったもの。‥可愛い。


「どう?これ?いちご牛乳みたいでなまえに似合うと思うんだけどなぁ〜」

「うん、可愛いっ!!私、これがいい‥!」

「銀ちゃんの選んだ着物当選アルカ!?くそぅッ」

「まさか銀さんが選んだ着物が選ばれるなんて‥‥でもなまえさんが選んだんだから文句はないです。」

「ごめんね2人とも‥せっかく選んでくれたのに。」


一生懸命選んでくれたのにほんと申し訳ない‥!


「何言ってるアルカ!いちご牛乳の着物なんてなまえに打ってつけの着物ネ!これは着るしかないアルヨ!」

「そうですよ、なまえさん。これも何かの縁なんじゃないかな?いちご牛乳の着物似合うと思いますよ。」

「うぅ‥」


2人の言葉に胸が熱くなる。着物選んでるだけなのにこんなに熱くなるなんて。


「2人ともありがとうっ」


思わず2人に抱きついた。


「わ、なまえさんんん!?!」

「よーしよーし、なまえは泣き虫アルな〜。私が着いてるから大丈夫アルヨ〜」


自然と涙が出てたらしい。
最近涙もろいのかも‥私。

涙は涙でも嬉涙。本当に嬉しい。ありがとう。


「オイ、お前ら俺は完全に無視か!!!」

「銀ちゃんッ!銀ちゃんありがと〜う!」

「お、おぅ。‥んじゃ、これはご購入な!」


―――――


なまえの着物を買ってからデパート内を宛もなくウロウロしている。なまえが俺の選んだ着物を選んでくれてすごく嬉しい。ありがとうってお礼を言ってくれた時には涙目だけど笑ってくれたなまえを見て、正直可愛い‥っていうか守ってやりたい、って思った。

そのなまえと言えば、今は広くて品揃えが良いからってデパート中をウロウロ。意外になまえがウロウロするもんだからはぐれまいと一生懸命ついて行く俺たち。‥あれ?そういや、なまえは?


「たまごかけご飯食べに行きたいヨ!」

「家でも食べてるんだからいいでしょ。それに1日あんまり食べると体に悪いよ。」

「私は悪くならないヨ!大丈夫だから行かせろォォォ!!!」


ギャアギャアと店内で騒ぎ回る新八と神楽をよそに、ちょっと見かけなくなったなまえを探す。


「銀ちゃん!」


あ、見つけた。
と思ったら、来て来て!と目を輝かせて俺の着流しの袖を掴んで俺を呼ぶなまえ。


「何だ何だッ?え、ちょ、なまえ?」


俺をぐいぐい引っ張っていた手を離し、一旦俺から離れたかと思うと雑貨が置いてそうな棚から何かを取って、また俺に近付いてきた。


「何持ってきたの?」


気になって俺が聞く。

するとなまえはパッと右手を差し伸べた。


「これ、銀ちゃんにプレゼント!」


そう言って差し出されたものは、額縁だった。


「額縁‥?何入れるの?」

「写真!みんなで撮った写真入れたいなって思って‥あんまりいいプレゼントじゃなくてごめんね。」


思いがけないプレゼントに驚いてしまった。


「ありがとよ。さっそく帰って写真撮って入れようぜ。」

「うん!!」


なまえは照れているらしく、ほっぺが赤く染まっている。


「あ!何2人で楽しんでるアルカ!私も仲間に入れるネ!」

「ちょっと、僕も入れて下さいよ!」


2人がなまえから「これ何ですか?」「額縁!写真入れるの!」なんて額縁のことを教えて貰ってた。あいつらみんな笑って楽しそうだな‥


「よし、帰るぞてめーら!万事屋の前で写真撮っから。」


俺がそう言うと


「よっしゃあああ!万事屋まで走って競争ネ!」


ってまだデパート内なのにも関わらず走り出す神楽。


「ちょ、神楽ちゃん!銀さんもなまえさんも早く帰ってきて下さいね!」


神楽を追いかける新八。


「銀ちゃん!一緒に帰ろう?」


そう言って俺に手を差し出すなまえ。


「おう。」


俺たちは足を進めた。


―――――


「ちょ、銀時もうちょっと詰めな。私が入んないじゃないか。」

「うっせーババァ!てめーがセンター来たらホラーになんだろ‥あぶしっ!!」


「コムスメ!ドケヨ!ソコハワタシノポジションダヨ!」

「お前がここ来たらマニアックな写真にしかならないネ!止めるヨロシ!」


「新八様、そこは私のポジションかと。新八様のポジションは眼鏡屋かと思われます。」

「オィィィィィィ!!僕を何だと思ってんだ!眼鏡じゃないからな!!!」


わいわいギャアギャア騒ぐ私たち。万事屋の前を通る人達の視線が少々いたい。でも気にしない。


「なまえ何ボーッとしてんだよ。ホラ、お前の居場所はここだ。」


そう言って私をセンターに移動させた銀ちゃん。


「え、私がセンターでいいの‥?」

「何言ってんだ。なまえ以外センター有り得ねェだろうが。」


銀ちゃんにそう言われてみんなを見ると笑って私を見てくれた。


「‥ありがとう!」

「よし、じゃあカメラさ〜んお願いしま〜す!」


カメラさんは長谷川さん。銀ちゃん曰わく公園のベンチで寝てたから連れてきたらしい。


「いきまーす!はい、チーズ」





翌日額縁に納められた写真からは

笑顔が溢れていた。








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